高速バス 新型コロナからの運行再開 「密」回避に知恵絞る業界 今後の需要と課題

生き残りをかけ生産性向上へ できることはまだある!

 もともと高速バスがメインの市場とする地方部では、人口減少が進んでいます。「乗客減少による収益減少が、値上げや減便、安全軽視などの品質低下を招き、さらなる乗客減少へ」という負のスパイラル だけは避けなければなりません。予約データ分析により需要を細かく予測し、それに合わせて運行車両数や運賃を柔軟に変動させる「レベニュー・マネジメント」強化といった施策が考えられます。

 この「レベニュー・マネジメント」活用のため、2012(平成24)年にはバスの制度が改正されました。しかし、その導入が一部の事業者にとどまっているのは、データ分析に必要な人材育成やITシステムのコストが理由です。これ以外にも、バス事業には、IT活用により生産性を向上させられる分野が多く眠っています。各事業者の努力とともに、行政のさらなる支援が求められます。

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多くの高速バスの発着地となっている東京駅鍛冶橋駐車場は、密集回避のため「発車時刻20分以内」の入場制限を実施する(2018年10月、中島洋平撮影)。

 このように課題は多くても、また、一部の便ではあるものの、高速バス運行再開の動きはバス事業者に安堵感をもたらしています。毎日7往復あった青森県~首都圏を全面運休していた弘南バス(青森県弘前市)は、5月31日(日)から2往復の運行を再開します。乗合部次長の加藤尚徳さんは、「学校が再開され、地元の路線バスにも賑わいが戻りつつあります。首都圏路線は会社の看板。万全の準備を重ね運行再開したい」と話しています。

【了】

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Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。

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