夏に発生しやすい積乱雲 旅客機は元々の飛行ルートからどれくらい外れて避けるのか

夏に多く発生する「積乱雲」、突入してしまうと大きな揺れなどをともなうことから、パイロットはこれに注意しながらフライトします。どのように、またどのくらいの距離を避けるのか、ANAのパイロットに聞きました。

パイロットの経験がモノをいう「積乱雲回避」

 いわゆる入道雲などの「積乱雲」は、パイロットにとって、いってしまえば大きな悩みのひとつでしょう。

 積乱雲は中心部に激しい上昇気流が、その周囲には強い下降気流が存在し、その空気の流れは、たとえば中心部では雨粒が浮かんでいられるほどの激しさとのことです。それゆえ、もしそのなかに入ってしまうと激しい揺れが予想されることから、当然パイロットはこれを避けるよう注意しながらフライトしています。

Large 200527 ana 01

拡大画像

ANAのボーイング777型機(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。

 一般的に積乱雲は、地表付近の空気が高温になり上空の空気との温度差が大きくなることで生じる上昇気流をおもな原因として発生します。ANA(全日空)のパイロットによると、特に夏は、地上が暑くなってくる午後に発達のピークを迎え、午前中は雲のないエリアでも、お昼を過ぎると巨大な積乱雲ができていることもあるそうです。

 ではこの積乱雲を回避する際、パイロットはどのように、またどれくらいの距離を迂回するのでしょうか。

 先出のパイロットによると、避け方は縦方向(上方)、横方向(左右)に避けるなどの方法があるといいます。もちろん事前に天気図や気象レーダーの情報から、予想を立てながらルート設定をしフライトに臨んでいますが、いつもその情報が当たるとは限りません。

 どう避けたら安全かつ効率的なのかは、積乱雲の距離や高さを察知する感覚が必要で、それはすぐに身につくものではないことから、それなりの経験と能力が必要なのだそうです。

【地図】積乱雲の回避距離 羽田空港から見ると…?

最新記事

道路交通情報(外部サイト)

  • 「最新の交通情報はありません」

コメント

1件のコメント

  1. アメリカで長いこと飛行機開発に携わっていたものです。
    本来の仕事は電気システムや航法関係のエレクトロニクスシステムの開発でした。
    しかし、飛行機で『電気』というと、『雷』や『静電気』も範疇でした。
    NASAや空軍、そういったところと付き合う専門家とも仕事をいっぱいさせてもらいました。

    その範疇の『雷』は、ほとんどの場合積乱雲が関与します。
    でも、積乱雲で一番怖いのが気流です。
    本来、積乱雲は地面が暖められてできる上昇気流が元で出来ます。
    そのときの上昇気流は地面付近の遠くから流れてくる空気です。
    しかし、陽が登って日射が強くなり、その気流の上昇が勢いづいてくると様相は一変します。
    地面を這うように遠くからくる空気では上昇気流の空気を賄いきれなくなります。
    足りないんです。
    それだけでなく、上昇して吹き上げられる空気も多くなり、上空でその空気がどこかに行ってくれなければならなくなります。

    そこで起きるのが、積乱雲のすぐ外側で、上空に上った空気が上空で冷やされ、下降気流となって地面に戻るという現象です。
    下降して地面近くに行くとまた温められて上昇する。
    つまり、積乱雲の周りでは、真ん中で上昇気流、外側で下降気流が生じます。
    下降気流では冷却は起きないので雲は生じません。
    つまり、積乱雲のすぐ外にある下降気流は飛行機からは見えないんです。
    下降気流は飛行機にとって乱気流と並ぶ危険な気流です。
    なにしろ下向き、つまり墜落させる方向に気流が流れるんですから。

    アメリカのコロラドのように、地面に草木が生えていないところではこの現象がとても強く起きます。
    だから、今日の記事にあったように、このエリアでは、飛行機は積乱雲からずっと離れて飛ぶんです。
    言い換えればそういった場所は竜巻も起きやすいです。
    その逆を言えば、竜巻に会いたくなければ、広い森の中の町に住みなさい、です。
    上昇気流が出来ませんから。
    私たちはそうして住むところを決めています。