ソ連/ロシアの軍事パレードに見る「指導者の乗りもの」と現代にいたる自動車事情

ロシアの自動車産業は復興するのか

 対独戦勝パレードは国力をアピールする場であり、節目だった2015(平成27)年の70周年記念式典では新型戦車T-14をはじめこれまで知られていなかった新兵器群が公開され、「T-14ショック」といわれるほど西側諸国を驚かせます。

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2018年「アウルス・セナート」で巡閲するショイグ国防相。0001のナンバープレートにも注目(画像:ロシア国防省)。

 そして2018年5月7日、プーチン大統領4期目の就任式に、ロシア国産の高級車「アウルス・セナート」大統領専用車がお披露目されます。翌々日の5月9日のパレードにも「アウルス・セナート」オープンカーが登場しています。ロシア自動車産業の復興アピールを狙っていることは明らかでした。

 2019年の「G20 大阪サミット」には、プーチン大統領はこの専用車と警護車を輸送機で日本へ持ち込んでいます。独特のオーラーを放つロシア製リムジンは、日本人にも強い印象を残しました。

 とはいえ、これをもってロシア自動車産業に復興のきざし、とするのは時期尚早でしょう。戦車業界にT-14はショックを巻き起こしますが、その後ほとんど姿を見せていません。実はまだ完成に至っていないのではないかとも噂されます。高級乗用車もまたしかりです。

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サンクトペテルブルクで見かけた公用車3台。パトカーが国産のアフトワズ(日産ルノーの傘下)、消防車は国産GAZ、救急車はフォード(2016年7月30日、加藤 聡撮影)。

 自動車産業は国の産業の根幹と言われます。パレードの見せ物用ではなく、ロシアの人たちが欲しがる実用国産車を作れるのかが課題です。

【了】

【写真】プーチン大統領専用のロシア国産リムジン

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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