クルマのフラットワイパーなぜ増えた トーナメント型より単純で高性能 意外な理由も
クルマのフロントガラスのワイパーは近年、フラットワイパーと呼ばれるタイプが主流になりつつあります。複数の部材で構成した従来のトーナメント型に対し、フラット型は構造も単純ですが、その実現には、「工場の変化」もありました。
トーナメント型からフラット型へ ワイパー進化
クルマのフロントガラスのワイパーは、長年、トーナメントワイパーと呼ばれる形状が一般的でしたが、2020年現在、より単純なフラットワイパーが増えています。ドイツに拠点を置く、ワイパー含む自動車部品や電動工具などのメーカー、ボッシュによると、2020年現在、日本における新車輸入車のフラットワイパー搭載率はすでに80%に達しているほか、国産車でも15%だそうです。
トーナメントワイパーは、フレームから複数の金属パーツが枝分かれしてワイパーゴムを支える構造で、いわゆるトーナメント表に見立ててそう呼ばれます。いくつもの「点」でワイパーゴムを支え、ゴム全体に均一な力が掛かるようにしているのです。これに対しフラットワイパーは、1本の芯材でゴムを固定しており、これがしなるため、フロントガラスのカーブに合わせてフィットするという特徴があります。
ボッシュによると、トーナメントワイパーは、それぞれの金属の枝がゴムを支える支点の圧力が高くなり、フロントガラスにかかる圧力にバラつきが生じるとのこと。対してフラットワイパーは、フロントガラスにかかる圧力がより均一に伝わり、クリアで安定した拭き取りを実現するといいます。
「欧州は200km/hもの速度で走行するドイツのアウトバーンなどもあり、高速走行時のワイパーの浮き上がりが日本以上に重要視されています。フラットワイパーは風力を確実に逃がす構造であるため、モータースポーツでも採用されているものです」(ボッシュ)
加えて、トーナメントワイパーの場合はワイパーアームや支点部の錆びなどが原因で、部分的に圧力が変わり、拭き取り時の「グゴゴ……」という、いわゆるビビり音が発生することもあります。
トーナメント式は降雪時にヒンジ部が凍って拭き取り出来ない所が生じたりする。ヒンジレスのフラットワイパーのありがたみを痛感する。