外観まるでフラフープ抱えた飛行機 味方船の安全を守るための磁気リング付き軍用機とは

戦車などの戦闘車両は、地雷原を突破するために車体前方に処理用ローラーなどを付けることがあります。これはローラーの圧力で地雷を爆破処理し物理的に無害化するものですが、同じような発想は水中に潜む機雷でもあったようです。

わりとすぐに姿を消した理由は「新型機雷」

 掃海用の磁気リング付き飛行機は、イギリスをはじめとした連合国軍と、ドイツをはじめとした枢軸国軍の双方で開発され、1940(昭和15)年頃から使われるようになりました。

Large 20200705 01
ドイツ空軍のブローム&フォス製BV138飛行艇がベースのBV138MS(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 機体は双方ともに、一定以上の大きさのリングと、発電機など磁気発生用の各種装置を搭載する必要から双発エンジン機以上とされたものの、高々度飛行や高速性は必要ないため、当初は輸送機改造の機体もありました。

 また磁気を発生させる装置はリング状でなくてもよかったため、菱形や棒状など、その形状にもいくつか種類が見られました

 大戦が進むにつれて、海面に降りることのできる飛行艇も用いられるようになります。基本的には既存機の改造で、機種はバラエティに富んでいたものの、おおむね1機種あたり数機から多くて10数機といった数でした。

 しかし、第2次世界大戦中盤以降、より複雑でかつ高性能な音響機雷や水圧機雷も登場するようになります。「音響機雷」とは船のエンジンやスクリューの音を感知して爆発するもので、「水圧機雷」は艦艇の航行時に発生する水圧によって爆発するものです。これら新型機雷には、海面上を飛ぶ飛行機では対処のしようがありませんでした。

 そのため掃海用の磁気リング付き飛行機は、第2次世界大戦で姿を消すこととなります。しかも機雷自体の高性能化が進んだため、そののち掃海作業は再び水上艦艇や水中処分員などが中心になっていきました。

 2020年現在、アメリカや日本などでは、ヘリコプターで機雷除去具を引っ張る掃海作業も実施されていますが、主流はやはり掃海艇や水中処分員です。

【了】

【写真】磁気が駄目なら木造 海自掃海艇による機雷処理の瞬間 立ち上る水柱!

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス