外観まるでフラフープ抱えた飛行機 味方船の安全を守るための磁気リング付き軍用機とは
わりとすぐに姿を消した理由は「新型機雷」
掃海用の磁気リング付き飛行機は、イギリスをはじめとした連合国軍と、ドイツをはじめとした枢軸国軍の双方で開発され、1940(昭和15)年頃から使われるようになりました。
機体は双方ともに、一定以上の大きさのリングと、発電機など磁気発生用の各種装置を搭載する必要から双発エンジン機以上とされたものの、高々度飛行や高速性は必要ないため、当初は輸送機改造の機体もありました。
また磁気を発生させる装置はリング状でなくてもよかったため、菱形や棒状など、その形状にもいくつか種類が見られました
大戦が進むにつれて、海面に降りることのできる飛行艇も用いられるようになります。基本的には既存機の改造で、機種はバラエティに富んでいたものの、おおむね1機種あたり数機から多くて10数機といった数でした。
しかし、第2次世界大戦中盤以降、より複雑でかつ高性能な音響機雷や水圧機雷も登場するようになります。「音響機雷」とは船のエンジンやスクリューの音を感知して爆発するもので、「水圧機雷」は艦艇の航行時に発生する水圧によって爆発するものです。これら新型機雷には、海面上を飛ぶ飛行機では対処のしようがありませんでした。
そのため掃海用の磁気リング付き飛行機は、第2次世界大戦で姿を消すこととなります。しかも機雷自体の高性能化が進んだため、そののち掃海作業は再び水上艦艇や水中処分員などが中心になっていきました。
2020年現在、アメリカや日本などでは、ヘリコプターで機雷除去具を引っ張る掃海作業も実施されていますが、主流はやはり掃海艇や水中処分員です。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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