老朽化するジェットフォイル 技術は絶えてしまうのか 25年ぶりの新造に続く動きも
1隻51億円 新たな建造の動きも
ジェットフォイルの置き換えが進まない最大の要因は、その価格です。「結」の建造費は51億円で、資材の高騰もあり25年前よりもかなり高額になっています。
東海汽船は今回、鉄道・運輸機構が内航海運事業者と費用を分担して船舶の建造を共同発注する「共有建造制度」を使い、さらに東京都が建造費の45%を支援しています。鉄道・運輸機構によると、東京都の支援があってこそ、「結」の建造にこぎつけたとのこと。
ただ、ジェットフォイルの基幹的な推進システムであるウォータージェットの生産再開は、1隻だけの発注では難しい状況です。新造ジェットフォイルの発注数を確保すべく、運航各社と話し合っていたものの、価格がネックになり難航。そこで「結」については、川崎重工が修理用などで用意していた既存のものが準用されました。
そして、ここへきて「次」の動きが出てきました。
新潟の佐渡汽船がジェットフォイルの新造を計画中です。新潟~両津(佐渡市)航路で3隻のジェットフォイルを運用していますが、同航路へ新造船を投入し、既存船により同社の直江津(上越市)~小木(佐渡市)航路でもジェットフォイルを運航する予定だといいます。
直江津~小木航路では2015年、北陸新幹線の開通による観光需要への期待もあり、新造の高速カーフェリーが投入されています。しかし、初年度こそよかったものの、その後は赤字に。様々な対応策を検討するなかで、この高速カーフェリーを売却し、さらに速いジェットフォイルを投入するという結論に至ったとのこと。
「この航路では以前にもジェットフォイルを運航しており、港の岸壁もそれに対応しています。また当社は自前のドックを持つため、ジェットフォイルは整備の面でも有利です」(佐渡汽船)
ジェットフォイルになればクルマを載せることはできなくなりますが、時間短縮によるサービス向上を図るとしています。直江津港に自家用車を停め、小木港からレンタカーやバスで佐渡島内を周遊、といった利用が考えられるとのことです。
伊勢遷宮が20年周期なのも技術継承のことを考えてそうしている側面があるようですし、水中翼船も今後そのくらいの間隔でブームが繰り返し来るといいなあって思います。
あまり長い時間つくらずにいるとロストテクノロジーになってしまうよ、と警鐘を鳴らす声が必要ですよね。
今回、技術継承に成功したら次の目標は「補助金に頼らずとも採算に乗せられるくらいの経済合理性を獲得する事」ではないでしょうか。価格競争力向上のための研究開発、是非ガンバって下さい。