戦艦「三笠」がモチーフ!? 戦前の「現役」消防署に潜入 高輪のシンボルになったワケ

東京都港区で、一見すると博物館のような消防署が現役で使われています。戦艦「三笠」をモチーフにしたというこの建物は、解体を免れ、昭和初期の「ドイツ表現主義」の意匠をいまに伝えています。

「ドイツ表現主義」をいまに伝える天井 海も見えた火の見やぐら

 旧高輪消防署である二本榎出張所は、建設から30年以上が経過すると手狭になり、設備の老朽化も進みました。そこで移転が計画され、1984(昭和59)年、港区白金2丁目に現在の高輪消防署が新たに建てられると、消防署の本署機能はそちらに移され、古くなった建物は取り壊しの話が出ました。

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建物3階の円形講堂の天井。放射状の8本の梁と10個のアーチ窓で構成された「ドイツ表現主義」のデザインなのが特徴(2020年7月、柘植優介撮影)。

 それに対し、周辺住民や建築学会などから反対の声が上がったことで、解体は取り止めとなり「高輪消防署二本榎出張所」として保存が決まります。2010(平成22)年には「東京都選定歴史的建造物」に指定され、建設から80年以上経った2016年には大幅な改修工事も実施、外観がリニューアルされました。

 現地を訪れてみると、なぜここに消防署が建てられたのかよくわかります。港区高輪は高台に広がる街ですが、そのなかで最も高い場所が二本榎出張所なのです。高さは海抜25mになるそうで、1970(昭和45)年頃までは消防署の屋上から東京湾が見えたとのこと。

 周囲に高層建築などなかった昭和初期などは、東京を一望できたのでしょう。電話などの通信網が未発達だったころには、建物の上にある望楼が火災発見の重要な手段になっていたはずです。

 建物の1階は車庫や受付などがあり、2階が事務室として現在も使われています。そして3階の円形講堂は展示スペースになっており、江戸時代以降の様々な消防用具が保存展示されています。

 この3階部分は、放射状の8本の梁と10個のアーチ窓で構成されており、「ドイツ表現主義」の特徴を伝える構造として、ひとつのポイントになっているとのことです。

【写真】ひと昔前の消防署のシンボル「すべり棒」も残る歴史的建造物

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