安い+強い=最強! F-16が世界中で売れまくるワケ F-15との比較で見えるその実力とは

F-15と同じくらい強くて安い=F-16最強か

 以上のようにF-16のキルレシオは実に80対2に達し、撃墜された事例も事故であることを考慮すると、100対0のF-15にほぼ比肩しうる実績を残したといえます。

 F-16の強さの秘訣は、意図的に安定性を落とし機動性を高める「静安定緩和」など、新技術を惜しみなく投じた点にありました。F-15は強い戦闘機ですが、その設計思想は極めて保守的であり、どちらかというと「高性能なF-4」といえる古い部類の飛行機です。両機は同じエンジンを搭載した兄弟でありながら、実に対照的であり、弟分のF-16はエンジンパワーのハンデを技術で克服しました。

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アメリカ空軍のアクロバットチーム、サンダーバーズ仕様のF-16(画像:ロッキード・マーチン)。

 F-15と同等の高性能機でありながら、F-15より安価なF-16が売れない筈はなく、2020年現在までに29か国が導入し、生産数は約4588機を数えるに至ります。いまなお政治的な事情からF-35を導入できない国にとっては魅力的な選択肢であり、2019年には最新の近代化改修型であるF-16Vを台湾が66機、発注するなど、F-16の時代はまだまだ当分、続くことになるでしょう。

【了】

【写真】ところ変われば迷彩も変わる モロッコ空軍のF-16

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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4件のコメント

  1. レバノンにおけるF-15とF16の戦績比較は投入機数をみないことには判断しかねると思います

  2. >投入機数
    具体的には覚えてませんが、ウー〇ー並の出撃回数だったと思います。
    アラブ側もイスラエルに押し込んだ後欲が絡み合い、連携が取れていなかったとの事。

    この機体はデザインもキレイだし大好きです。
    同じく単発のF-104(マルヨン)が削ぎ落しまくった設計に対して、拡張性などを考慮して余裕を持った設計です。

  3. パキスタン空軍の僚機撃墜をF-16の非撃墜とカウントするなら、空自の僚機撃墜もF-15の非撃墜とカウントしないと不公平ではないでしょうか?

  4. 非撃墜→被撃墜でした