小笠原の交通格差解消へ切り札? 都が「オスプレイ」技術応用の民用機提示 どうなる?

速くて長く飛べて滑走路要らず…ティルトローター機で答えは出たか?

 2018年6月30日付の日本経済新聞は、環境破壊を抑える形で洲崎地区に空港を建設した場合、工期は20年から25年かかると報じており、この報道が事実であれば、小笠原村には受け入れにくいと筆者は思います。また、仮に空港を開設してATR42-600Sを就航させたとしても、過密の一途をたどる羽田空港の発着枠を確保できるのかという問題もあります。

 AW609の乗客数(最大9名)は、ATR42-600S(最大48名)に比べて少なく、観光を含めた小笠原の産業振興という面においてはATR42-600Sに及びませんが、巡航速度と航続距離ではそれほど大きな差がありません。また、増加燃料タンクを搭載することで、航続距離を2000kmにまで延伸する計画も発表されています。

 AW609は垂直離着陸が可能なため、洲崎地区に空港を開設する場合でも長い滑走路を必要とせず、東京都が運営する江東区新木場の東京ヘリポートからの運航も可能であると見られています。AW609には現時点で唯一のティルトローター機であるV-22「オスプレイ」の技術が応用されていますが、軍用機であるV-22とは異なり機内が与圧されているため、急患輸送にも適しています。

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レオナルドが開発を進めているNGCTRのイメージCG(画像:レオナルド)。

 レオナルドは、EU(ヨーロッパ連合)が策定した環境政策「クリーンスカイ2」の枠組みに基づき、20席から25席クラスの次世代ティルトローター機を目的とした技術実証機「NGCTR」(Next Generation Civil Tiltrotor)の開発も進めています。将来NGCTRをベースとする大型ティルトローター機が実用化された際には、小笠原路線に導入して、産業振興を拡大していくという方策も考えられます。

 AW609に関しては、民間航空機として運航するために必要な型式証明の取得が遅れており、またどのような運航形態にするのかといった問題も少なくありませんが、環境破壊を最小限に抑え、かつ早期に小笠原村の交通格差を解消するための、有効な手段のひとつであると筆者は思います。

【了】

【写真】広いと見るか狭いと見るか…AW609の客室(VIP仕様) ほか

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

3件のコメント

  1. 素晴らしい!ここまで我慢して小笠原に空港を建設させなかったくらいですから、大島空港も原状に復元してしまえばよいのに、と思いましたがまだ調布~大島線は残っていたのですね、失礼しました…

  2. オスプレイタイプ航空機就航だとお高そうです。
    自衛隊のUS−2などの航空機も運用は緊急時でしょうし。航空機より安価で船舶より早い乗り物は望まれてると思います。エクラノプランはどうでしょう?ロシアから中古で。とかエアーフィッシュ8も就航しているみたいですし。問題はグランドエフェクト機の日本における免許関連ですかね?今の所高速船舶準拠らしいですが父島迄6.25時間緊急性が低く船舶より速さを求められる需要は有りそうです。

    • エクラノプラン?アレを外洋で運用しようだなんて正気の沙汰とは思えない。
      エアーフィッシュだって波高が高いと離水するのにすら苦労するのに…