自衛隊F-15Jが大幅パワーアップ!? 「イーグル」戦闘機ファミリーの華麗なる転身とは
もはや別物 これからのF-15「イーグル」
この決断が功を奏してF-15Kは韓国空軍に採用され、そして制空戦闘機としても高い能力を持ち、かつ多用途性能も兼ね備えたF-15Kに世界各国が注目します。
その結果、シンガポールがF-15Kよりも高性能のレーダーを搭載したF-15SG、サウジアラビアが飛行制御システムをフライ・バイ・ワイヤに変更するとともに兵装搭載量の増加などの改良を加えたF-15SA、カタールがF-15SAのコックピットを大幅に近代化して、より高性能なレーダーを搭載したF-15QAを相次いで採用したのです。
2019年には、アメリカ空軍がF-15QAをベースとするF-15EXの採用を決定。F-15は開発時のコンセプトであった空対空戦闘能力を追求した戦闘機から、多用途戦闘機へと華麗(?)に転進して、1976(昭和51)年の量産開始から44年が経過した現在も、生産が継続されています。
航空自衛隊のF-15Jは、制空戦闘機型のF-15Cをベースに開発されていますが、2022年から開始される予定の能力向上改修で、「JASSM-ER」のような長射程の対地/対艦ミサイルなども運用できる多用途戦闘機「ジャパニーズ・スーパー・インターセプター」(F-15JSI)へと生まれ変わる予定です。
F-15JSIのレーダー、コックピット、コンピューターなどは、前に述べたF-15EXと共通化されており、ボーイングのプラット・クマールF-15担当副社長はF-15JSIについて、F-15EXに近い能力を持つ戦闘機になるとの見解を示しています。
ボーイングはF-15EXの単座型も構想しており、その名称が「F-15CX」になると述べていますが、F-15JSIは外観こそF-15Jと大きく変わらないものの、中身は事実上「日本版F-15CX」といえるような、まったく別の戦闘機になると考えるべきだと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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