コミュニティバス=「走る町内会」? 全国ブームの先駆者「ムーバス」が見せた光景

ムーバス「まさかの黒字」そして「まさかの使い方」

 運行開始当時から不採算が予想された「ムーバス」でしたが、大方の予想に反してその客足は予想を大きく上回りました。家からあまり出なかった高齢者や親子連れの姿が街に目立つようになったそうです。当時の武蔵野市長 土屋正忠さんは著書の中で「潜在需要を掘り起こした」と語っています。

 また小さな子供がいる家などで、子供に百円玉1枚を渡して「ムーバスで2周しておいで」と1周25分間で環状運転するバスに乗せ、50分後にバス停まで迎えに行くという、誰も予想しなかった「保育園がわり」のような使い方も見られたのだとか。

 運行から3年ほどで「ムーバス」の黒字化が達成されたときの驚きたるや、関係者ですら利益の使い方を決めておらず、直前に慌てて協議を始めたほど。結果、事業者が利益の半分を市に寄付することで解決したそうです。

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現在は日野「ポンチョ」を使用(2020年8月、乗りものニュース編集部撮影)。

 その後は運行地域も広がり、7路線(一部三鷹市と共同経営)を擁するまでになった「ムーバス」は、運行開始から25年を経た2020年に累計利用者が5000万人を突破するまでになりました。

「住宅街にバスを走らせる」という武蔵野市の事例は他地区の憧れでもあったようで、「ムーバス」が端の方を通る杉並区の人々は、「すいませんねぇ」と武蔵野市の人々に謝って乗り込む人までいたそうです。開業当時のマスコミの扱いが大きかったこともあり、この成功は、結果として全国で600もの自治体がコミュニティバスを導入するきっかけともなりました。さらに、こうしたブームに乗り東京の様々な自治体で多数購入された小型バス車両は、のちに払い下げられ、地方のバス事業者のコスト押し下げにもつながりました。

【地図】住宅街にくまなく7路線 「ムーバス」のルート

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