北陸新幹線「敦賀開業」で高速バスどうなる? 競合環境の激変 過去にはプラスの影響も
2022年度末に北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業します。長野~金沢間開業時にも、高速バスは金沢方面の路線を中心に大きな影響がありましたが、このような競合環境の激変にどう対応してきたのでしょうか。
新幹線の敦賀開業で「チャンス到来」の高速バス路線も
仙台と青森や弘前を結ぶ高速バス利用者の多くは、青森県側在住者です。青森側のニーズにほぼ特化してダイヤを組みなおせば、現在の車両と乗務員運用数を変えずとも、青森と弘前を午前に、仙台を午後に発車する便についておおむね1時間間隔を確保することができると筆者(成定竜一:高速バスマーケティング研究所代表)は考えています。
高速バス路線は、歴史が長ければ長いほど、開業当時の状態を残し、現在のニーズに対応できない「生きた化石」になりがちで、仙台~青森線もその例です。そうならないためには、常に「もしも今、イチから新しく路線を引くなら、どんな経路やダイヤ、運賃になるか」を問い続ける必要があります。
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話を北陸新幹線敦賀延伸に戻すと、その時、高速バスでマイナスの影響を受けるのは東京~福井線ですが、もともと便数は少ないため、影響の規模は限定的でしょう。むしろ、「鉄道だと敦賀で乗り換えが必要」となれば、名古屋、京阪神と福井、金沢を結ぶ高速バス路線に成長のチャンスが回ってくるでしょう。
そのうち、名古屋発着の路線は、特に北陸側で相当定着しています。ただし、共同運行会社の数が多く調整が困難なこともあり、運行ダイヤは開業時から大きく変化していません。ニーズに合わせ頻繁に施策を実施する新宿~長野県方面の路線などと比較すると、路線環境はよく似ているのに、始発時刻が遅く終車が早い点や、自家用車から高速バスへ乗り換えるパーク&ライド用駐車場の整備が不十分な点など、対応の遅れが目立ちます。つまり、まだ伸びる余地があるともいえます。
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