北陸新幹線「敦賀開業」で高速バスどうなる? 競合環境の激変 過去にはプラスの影響も
2022年度末に北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業します。長野~金沢間開業時にも、高速バスは金沢方面の路線を中心に大きな影響がありましたが、このような競合環境の激変にどう対応してきたのでしょうか。
新幹線延伸の激変に対応遅れたケースでは…?
このように新幹線の延伸が、並行する高速バスの長距離路線でマイナスに、短距離路線でプラスに働く傾向は、九州新幹線の博多~新八代開業(2011年)などでも見られました。
北陸新幹線の金沢延伸では、高速バスにプラスになったケースがもうひとつありました。それは、名古屋と富山県との流動です。この区間の鉄道は、所要時間の長い高山線経由を除くと、金沢で乗り換えが必要になったからです。高速バスの名古屋~富山線、高岡・氷見線などが増便を繰り返しました。
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新幹線開業などで競合環境が一変すれば、当然、高速バス事業者はそれに対応する必要があります。しかし、共同運行会社間の調整も必要で、なかなか決断に至りません。2010(平成22)年、東北新幹線の新青森延伸で影響を受けた仙台~青森線がその例です。
同路線が開業した1989(平成元)年当時、新幹線は盛岡止まりで、青森へは在来線特急に乗り換えが必要でした。その乗り換えを含む所要時間は4時間弱。高速バスは5時間弱だったので、十分な競争力を持っていました。その後、新幹線は八戸延伸を経て新青森まで開業し、乗り換えが不要になったうえ、仙台~新青森が1時間35分程度まで速達化しました。
その間、高速バスは所要時間も変わっていなければ、鉄道の5~6割という運賃水準もそのままです。しかし、所要時間の差が1時間だった当時と、3倍の差が付いてしまった今では、全くの別路線だと考えられます。
しかし、決断できないままずるずる減便を繰り返し、3往復まで半減しました(2020年8月現在、新型コロナウイルスの影響で2往復のみ運行中)。運行頻度は昼行路線において最も重要な利便性の指標です。姉妹路線である仙台~弘前線と早めに統合し便数を確保すべきだったと考えられます。以前は幅広い客層の利用があったものの、今では、特に価格を重視する人に限定され、所要時間は二の次だからです。
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