性能良すぎて輸出禁止! 知名度皆無な冷戦期ソ連のSu-15戦闘機が関わった「事件」とは

高運動性能+高性能電子機器搭載=Su-15

 1960年代までのソ連製戦闘機は、おおむね2種類に分別できました。

 まず小さく軽量であり、速度、上昇、加速などに優れる点に性能特化した機種で、こうした機の多くは最前線で敵と戦うことを主任務とするソ連空軍に配備されました。

 もうひとつは比較的大きいため、飛行性能は劣りますがレーダーなど搭載機器に優れ航続距離の長い機種であり、これらは空軍とは独立したもうひとつの航空部隊である「ソ連防空軍」へ配備されました。また防空軍は性能特化の軽量戦闘機も同時に保有し、これらは空軍型よりも搭載電子機器の点で優れていました。

 Su-15がなぜ最も高性能かつ重要な戦闘機であるといえたのか、それは軽量戦闘機と同等以上の飛行性能を有しながら、大型戦闘機と同等以上の搭載電子機器を有していたためです。

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スホーイSu-9「フィッシュポット」MiG-21と同じ設計思想のもと開発。1962年に2337km/hを記録、F-4の1958km/hを塗り替え世界最速機となった(関 賢太郎撮影)。

 Su-15はスホーイSu-9の性能向上型として開発されました。Su-9は同時期に開発されたMiG-21と非常によく似た性能特化型に分類できる単発戦闘機でしたが、Su-15ではこのSu-9の設計をほぼ引き継ぎながら、エンジンを双発化し機体規模だけをそのまま拡大したのです。

 かなり強引ともいえる再設計でしたが、ともかくSu-15はSu-9と同等の性能を引き継ぎながら、ノーズの空気流入口を胴体側面に移設できたことで機首部に大型レーダーの搭載を可能とし、「飛行性能」と「搭載電子機器の充実」の両立を実現しました。

【画像】大きくソ連領空に侵入していた大韓航空007便の航路図

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