鉄道「レア車両」はなぜ生まれる? 1編成で製造打ち切り それぞれの理由
「1編成しか製造しない」と決められていた車両
JR東日本の豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」、JR九州の「ななつ星in九州」といったクルーズトレインや、かつて寝台特急として走り、その後は団体臨時列車に使われるJR東日本の「カシオペア」の客車といった車両は、いずれも1編成分しか製造されていません。
これらは定期列車のように複数編成を用意して、毎日運転する必要はありません。あらかじめ需要の高い時期に運転日を設定し、閑散期は運休するといった運行計画を組んでも差し支えないため、1編成で運行するケースがほとんどです。
最後に、変わったケースとして「会社のメモリアルイヤーに記念で製造された」車両を紹介します。
江ノ島電鉄の10形電車は江ノ電開業95周年を記念し、レトロ調のデザインで1997(平成9)年に新造されました。外観はこれまで緑色の車両が中心だった江ノ電の伝統を打ち破る、斬新なカラーとスタイルになっています。
10形の投入で利用客は増加に転じましたが、その後の新車製造は10形をベースにしてはいるものの車体の色は従来の江ノ電カラーに戻し、造形も若干シンプルにした20形電車に移りました。最初から1編成しか製造しないと決められていた車両の中でも、江ノ電10形は珍しいケースです。
しかしながら、ほかの車両と互換性を持たない1編成だけの車両は保守などの手間がかかるため、クルーズトレインのように特殊な用途を除いて、車両の寿命はあまり長くないのが一般的です。
江ノ電10形は一般の車両と同じように長く使われていますが、これは設計段階で車体以外の足回りや設備の多くをほかの車両と共通化し、保守しやすくデザインされているためです。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
3本の製造だったけど、東急2000系もなかなか不遇な生涯かと。
系列名も消され9020系とまるで9000系のオマケのように。
近鉄の1250系→1430系は2両ぽっちの試作車ながら、
30年以上経た現在もなお元気に走ってるな。
JR東海371系もかなりのレアケース。小田急との相互乗り入れのためだけにかなり意欲的な意匠で1編成だけ作られた。いまは富士急で余生を送っているらしい。もっとも、意欲的な内外装に反して床下は大部分211/213の使い回しだけれど