八王子に眠る「沖縄のはしご車」 車歴に隠された戦後日本のターニングポイントとは

日本各地にボンネットバスやボンネットトラックなどが保存展示されていますが、そのなかでも一風変わった車歴を持っているのが、日野自動車が所有するTE120改はしご消防車。ある歴史の生き証人ともいえる車両です。

「日本復帰」直後の沖縄へ配備された消防車

 東京都八王子市にある日野オートプラザ。ここは日野自動車の技術開発史を紹介する展示施設で、敷地の各所に実物のトラックやバス、貴重な車両やエンジンなどが展示されています。

 正面入口の脇にはトラックやバスとともに、はしご消防車も1台展示されています。いまでは貴重なボンネットタイプの消防車両です。同車は日野自動車製のTE120型トラックをベースに日本機械工業が消防架装したもので、沖縄県沖縄市の消防署で1974(昭和49)年から1997(平成9)年まで使われていました。

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日野オートプラザで展示されているTE120改はしご消防車(2020年8月、柘植優介撮影)。

「TE120改」と呼ばれる消防車ですが、同車が配備された当時、沖縄では左ハンドル車が主流でした。

 太平洋戦争において地上戦が繰り広げられた沖縄は、戦後アメリカ軍の統治下におかれ、交通法規もアメリカに準じていました。自動車は右側通行であり、左ハンドル車ばかりで、消防車についてはアメリカ製、もしくはアメリカ製トラックがベースのものが多かったといいます。

 1972(昭和47)年5月15日に、沖縄は日本へ返還され「沖縄県」として発足します。しかし日本に復帰したからといって、直ちにすべてのインフラが他の都道府県と同じようになるわけではありませんでした。

★★歴史の生き証人、日野「TE120改」はしご消防車を写真でたっぷり★★

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