都内で目撃多数の陸自16式機動戦闘車はなにをしていた? その「戦い方」に関係アリ

2020年8月のお盆シーズン、都内で陸上自衛隊の16式機動戦闘車に関し、一般道を走っている姿の目撃情報が相次ぎました。実はこれも訓練の一環であり、そしてそれこそが従来の戦車と異なる16式ならではの戦い方に関連しています。

砲口径の大小が絶対的ではないことを表す16式の「戦い方」

 もうひとつの特徴が「ネットワーク化された戦闘」です。動きながら正確な射撃ができるとはいっても、敵を見つけられなければそもそも意味はありません。今回の戦闘射撃訓練では「小隊戦闘ネットワーク」が使われ、同じ小隊の16式が見つけた敵をほかの16式が別方向から射撃するという戦法が行われました。16式の戦い方は走り回ることも大切ですが、このネットワークで「群れで戦う」ことで真価を発揮します。

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2019年の「総火演」でスラローム射撃する10式戦車。90式と比べても精度は別次元。16式の射撃照準システムも同等のものという(2019年8月24日、月刊PANZER編集部撮影)。

 10式や16式のネットワーク戦闘システムは、イージスシステムの陸戦版ともいえます。ごく簡単に紹介すると、隊内の各16式からのリアルタイム情報を隊長が集約し、敵味方を識別して自動的に脅威度を判定評価し、攻撃優先順位を指定します。その内容はつねに隊内で共有されます。場合によっては初弾発射を隊長に委任することも可能です。各車がバラバラに戦闘を行うより無駄が無く、主導権を取りやすく攻撃力も大きくなります。

 アメリカの研究機関によれば、地上戦において、従来型の音声無線のみの中隊はネットワーク化された小隊に瞬殺されるそうです。105mm砲では威力不足との声も聞こえてきそうですが、戦場の主導権を奪われたら105mm砲だろうが120mm砲だろうが大した意味はありません。そもそも射撃する機会すら与えられません。

 16式の真価は、ネットワーク戦闘システムで群れて流鏑馬ができる、ということです。しかしこれが「技術立国」日本の16式だけの特技だと思ってはいけません。デジタル戦争は現在進行形であり、ガラケーのようにあっという間に陳腐化するということもあるのです。

【了】

※一部修正しました(10月7日12時45分)。

【写真】これはSNSに上げたくなるわ…2007年撮影 74式戦車の一般道での様子

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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