「スペースジェット」は何だったのか かつて実用化の国産旅客機「YS-11」との違いは?

三菱「スペースジェット」の本格的な開発が実質上ほぼ一時凍結され、久しぶりの「国産旅客機」の実用化はしばらくお預けとなりました。かつて日本では「YS-11」が実用化に成功していますが、その違いはどこにあったのでしょうか。

今回の足踏みはなぜ発生したのか

 今回の開発遅れの決定打として最も広く知れわたっているのが、航空機のモデルごとに必要な「型式証明」の取得でしょう。

 旅客機が飛ぶ際には所定の検査が必要ですが、量産された機体すべてを国が検査するのは現実的ではありません。型式証明は、そのモデルが一定の安全基準を満たしているかどうかを国が審査する制度です。クリアすれば、あとはメーカーが機体ごとに検査を実施するだけになります。

 今回のMSJの場合、旅客機を久しく造っていなかった日本企業、そして基準を設け審査をするCAB(国土交通省航空局)とともに経験が乏しいことから、「手さぐり」にならざるを得ません。さらに「スペースジェット」の顧客には海外の航空会社も含まれているため、FAA(アメリカ連邦航空局)やEASA(欧州航空安全機関)といった海外機関の型式証明の取得も必要になります。

 このため当然「世界で通用する基準」が求められることになるわけですが、この基準が甘く、万が一の事態に陥ってしまえば、日本の製造業の信用問題にも関わります。しかし型式証明に関する経験が乏しく、さらに言ってしまえば「さじ加減ひとつ」でNGにできるような曖昧なものもなかにはあります。

 ボーイングなどにはこういった審査に関するノウハウがありますが、審査を受ける「新参」の航空機メーカーとなる三菱重工グループ、そして審査を行うCABにはこれがありません。型式証明は、膨大な検査項目のひとつでもダメと判断されれば承認が下りることはない一方で、これが通らなければ実用化も難しい状態でもあるのです。

【写真】リージョナルジェットの走り&小牧の「格納庫」のいま

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  1. 国土交通省航空局は「JCAB」です。

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