米政府がUAEへF-35の輸出承認でミグ悲鳴 やめて! MiGのヒットポイントはもうゼロよ!
UAEがF-35を買うとミグがピンチになる理由
ミグはこの状況を打開すべく、MiG-29の能力向上型MiG-35を開発しています。2020年11月の時点で採用したのはロシア航空宇宙軍とエジプト空軍のみですが、ロシア航空宇宙軍の採用は苦戦が続くロシアン・エアクラフト・コーポレーション・ミグへの救済策という色彩が強く、エジプト空軍は正式発注していないとの報道もあります。
ユナイテッド・エアクラフトは2020年2月7日に、「フランカー」シリーズなどを製造しているスホーイとミグを統合していますが、この統合は事実上スホーイによるミグの吸収合併であり、このままミグが輸出の見込める有力な商品を開発できなければ、「ミグ」というブランドが消滅してしまう可能性すら無いとは言えません。
ロシアは2017年2月、UAEの首都アブダビで開催された防衛装備展示会「IDEX」の会場で、UAEと高いステルス性能を持つ軽量級の第5世代戦闘機を共同開発することで合意しており、戦闘機の開発にはミグが主体的な役割を果たすと目されていました。この共同開発はF-35を導入できないUAEの希望によるところが大きく、F-35の輸出が承認されればご破算になる可能性も十分考えられますし、そうなるとミグは輸出も見込める有力な商品を開発するチャンスを失うことになります。
アメリカ連邦議会がUAEへのF-35の輸出を承認するかは不透明ですが、同国がF-35を導入した場合、最も大きな脅威を感じるであろうイランよりもミグの方が、より強く連邦議会が承認しないことを望んでいる……のかもしれません。
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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
LM「HA⭐︎NA⭐︎SE!」