「夜専門のはずですよね?」米空母「エンタープライズ」の悲喜劇 艦内24hコンビニ状態に

太平洋戦争中、アメリカ軍は昼夜問わず襲来する日本軍機の攻撃に悩まされます。解決策として同海軍は、レーダー装備の艦上夜間戦闘機を運用する専任空母を決めたものの、それが逆に乗組員の負担を増やす結果になってしまったようです。

現場にとっては負担が大き過ぎた「24時間営業」

 ここから「エンタープライズ」のワンマン・オペレーション、いわゆる「ワンオペ」が始まりました。この時期の「エンタープライズ」はレーダー装備のF6F「ヘルキャット」戦闘機だけでなく、同じくレーダーを装備した「アベンジャー」艦上攻撃機も搭載していました。そのため夜間迎撃だけでなく、夜間攻撃任務にも従事していました。

 とはいえ、レーダーが有用なのは夜間だけではありません。昼間でも状況によってはレーダー非装備の艦上機に変わって出撃したり、または昼間攻撃の増援として声がかかったりしました。要はマルチプレイヤーとして、昼夜問わず用いられたのです。

 結果、艦上は大忙しで暇なしの有り様で、そのため手空きの乗員がいつでも食事やコーヒーブレイクができるように艦内食堂は24時間オープン。売店も同じく24時間開いたままのまさに「24時間コンビニエンスストア」状態となり、本来なら実働時間と休息時間が厳密に区分される海上勤務にもかかわらず、航空機搭乗員も空母乗組員も寝られる時にはいつでも寝てよい、という異例の命令が出されたほどでした。この時期に撮影された写真には、多数の乗組員たちが飛行甲板上でしばしの仮眠に就いているシーンがあります。

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1945年5月14日、日本軍の航空特攻を受ける空母「エンタープライズ」。(画像:アメリカ海軍)。

 しかし昼夜問わず奮闘した結果なのか、空母「エンタープライズ」は沖縄戦が続く1945(昭和20)年5月14日、一瞬のスキを突かれ爆弾を搭載した零戦の特攻を受けて大破。アメリカ本土に修理のために引き上げることになりました。そしてワシントン州のピュージェット・サウンド海軍工廠で修理中に終戦を迎えています。

 夜間空母として、第2次世界大戦末期にまさしく孤軍奮闘状態だった空母「エンタープライズ」。人だけでなく艦船も代わりのない「ワンオペ」になると、過重労働になってしまうのかもしれません。

【了】

【写真】危ないっ!空母着艦に失敗し火を噴いたF6F戦闘機

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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