関西の鉄道「どんどん増える停車駅」事情 熾烈なライバル競争にも時代の変化?

特急が「消滅」した路線も

 阪神間の特急停車駅も、ライバル間を取り巻く状況によって少しずつ変わってきました。また、かつて全線で特急が走っていたものの、一部を残し廃止されてしまったケースもあります。

阪神本線・特急

 阪神間の鉄道輸送も京阪間と同じく「三つ巴」状態で、阪神・阪急・JRがしのぎを削っていました。「速いが高いJR」に対抗していたのが「遅いが安い阪神」で、カーブの多い路線条件ながら所要時間を短くするため、梅田から三宮までの途中停車駅は長らく西宮・芦屋・御影のみとなっていました。

 その後、一部の時間帯での停車駅増加を経て、2001(平成13)年には基本ダイヤで尼崎・甲子園・魚崎にも停車する、現在のパターンが完成します。JRの新快速が130km/h運転を拡大し、スピードの優位性を強めていった時期でした。

 特急に次ぐ優等列車である「快速急行」も、当初は尼崎を出ると甲子園・西宮・魚崎のみの停車(特急が停車する芦屋・御影は通過)でしたが、現在は昼間と土休日に武庫川・今津、平日に芦屋にも停車するようになりました。

 2006(平成18)年には長年のライバルであった阪神と阪急が経営統合し、かつての阪神間輸送の客の奪い合いから、阪神が通る海側、阪急が通る山側の地域需要を相互に補完する様相へと変わっています。

阪急宝塚線・特急

 阪急宝塚線にはかつて特急が走っていました。1995(平成7)年の登場時の途中停車駅は、十三・豊中・石橋(現:石橋阪大前)・川西能勢口のみ。その後、雲雀丘花屋敷・池田・山本が順次停車駅に設定されたのち、2003(平成15)年に廃止。宝塚乗り入れの特急はわずか8年の短命に終わりました。

 2020年現在における阪急宝塚線の宝塚行き最優等列車は急行で、豊中から終点まで各駅停車です。宝塚~大阪(梅田)間の所要時間はJR宝塚線の快速が約15分も速く、スピードでは太刀打ちできません。その代わり、急行はきめ細やかに郊外の中小都市を結んでいくことで、JRに対し独自の優位性を保っています。

 一方、能勢電鉄の日生中央駅を発着し、川西能勢口から阪急宝塚線へ乗り入れる形で、特急「日生エクスプレス」が今も平日朝夕に運行されています。宝塚線内の途中停車駅は十三・石橋阪大前・池田・川西能勢口。JRというライバルのいない能勢電鉄沿線は、密集するラッシュ時のダイヤを縫うように走る特急の速さを享受しています。

【了】

【時刻表】飛ばす飛ばす! 1973年当時の新快速

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コメント

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3件のコメント

  1. 阪急京都線や京阪の特急の停車駅増加と新快速の所要時間短縮には確かに相関関係があるのですか?運賃もありましょうが発駅と着駅の立地が利用者に便利ならそちらを選ぶ傾向にあるのではないですか。JRの京阪神の枠にとどまらないネットワークは強いですね。阪神~山陽電車の直通特急もありますがどうなのでしょう。

  2. なぜ今さら?
    ミナクサ停車ですら来年で10年だってのに。

  3. 所々間違った記載がありますね。
    初代の阪急宝塚線特急の停車駅に豊中とありますが、豊中には停車していません。

    十三、石橋、川西能勢口の途中3駅だけでした。