「変動運賃」高速バスで本格化 「次の便の方が安い」で何が変わる 鉄道にも応用可?

高速バスにおいて、同じ路線で便ごとに運賃が変動する「ダイナミックプライシング」が本格化します。これまでも長距離の夜行バスを中心に採用されてきましたが、これを高頻度運行の短・中距離へ導入。何がどう変わるのでしょうか。

同じ路線でも「30分後の便のほうが安い」?

 京王電鉄バスが2020年12月17日(木)から、高速バス座席予約システム「SRS」および予約サイト「ハイウェイバスドットコム」に、運行便の需要に応じて運賃を変動させ、最適化するというダイナミックプライシングの仕組みを導入します。これに先立つ10日(木)、記者発表会がオンラインで実施されました。

 高速バスでは、すでに同様の仕組みが、1日1本ないし数本運転される長距離の夜行バスを中心に導入されており、平日の便は安く、週末の便は高くなるといったことが、もはや当たり前になっています。今回はこれを、1日を通じて高頻度で運行される短・中距離路線にも導入し、便や時間帯に応じて価格を変動させます。つまり、同じ路線でも「30分後の便のほうが安い」「同じ時間の便でも明日の方が安い」といったことが起こってくるわけです。

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左が京王電鉄バスの福島八束取締役、右がシステム支援を行う空の村松大貴CEO(画像:京王電鉄バス)。

「バスは元来、その機動力を活かして、繁忙期には同じダイヤで続行便(2号車以降)を出してきました。しかし、慢性的な運転士不足や、バスターミナルの発着枠の制限から輸送力の確保が困難になっています。そのため、一部の時間帯に集中する需要を平準化させ、乗車率も平準化させることが課題になっていました」(京王電鉄バス 取締役運輸営業部長 福島八束さん)

 現在は新型コロナウイルスの影響で高速バスの利用は大きく落ち込んでいますが、ここ数年「高い運賃を払ってでも、この便に乗りたい」という人がいる一方で、「満席お断り」となることも増えていたそう。そこで、運賃の変動により、閑散期や乗客の少ない便の利用を促進することが、結果的に乗客の利便性向上につながると、福島さんは「バスタ新宿」の初代所長を務めた際に痛感したといいます。

 会見に出席した高速バスマーケティング研究所代表の成定竜一さんによると、こうした高頻度で運行される昼行の短・中距離路線(おおむね250kmまで)は、高速バス路線の約86%を占める「本丸」だといます。しかし、前出した運転士不足や停留所の発着枠不足などから、2014(平成26)年以降における高速バス全体の年間輸送人員を微減させる要因になっていたそうです。

【写真】まさに「バス団子」 続行便ゾロゾロ年末のバスタ新宿前

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