「変動運賃」高速バスで本格化 「次の便の方が安い」で何が変わる 鉄道にも応用可?
高速バスにおいて、同じ路線で便ごとに運賃が変動する「ダイナミックプライシング」が本格化します。これまでも長距離の夜行バスを中心に採用されてきましたが、これを高頻度運行の短・中距離へ導入。何がどう変わるのでしょうか。
運賃は実際どれくらい変動する? 鉄道にも応用できるか
今回、京王電鉄バスはITベンチャーの株式会社空(そら)が開発した「マジックプライス」のシステムを導入します。もともとホテルなどを中心に導入されていたもので、座席の販売状況に応じて、タイムリーに価格を決定できるとのこと。京王電鉄バスの福島さんによると、従来はノウハウを持つ人でなければできなかった運賃決定の仕組みをシステム化するものだといいます。
京王電鉄バスはさらに、全国140を超える高速バス路線の座席を管理する「SRS」の利用事業者を中心に、ダイナミックプライシングの仕組みを広げていきたい考えです。
12月17日(木)からはまず、新宿・池袋~長野線と新宿~仙台線で展開し、それに合わせて共同運行事業者であるアルピコ交通や長電バス、宮城交通でも、今回の仕組みを導入することとなります。これにより1日のうちで、おおむね最大20%程度、便による運賃の変動が生じる見込みだそうです。ちなみに、予約受付開始後でも運賃は毎日変動し、「きょう予約した便が明日は安くなっている」ということも起こり得ます。
高速バスマーケティング研究所の成定さんによると、需要が集中して続行便を多く運行しても、復路は「空っぽ」で戻って来なければならないケースもあるといいます。ダイナミックプライシングの導入は、便ごとの収益最大化の追求であり、重要なのはその先、収益をサービス向上に再投資するサイクルの実現だとのこと。
また現在、新型コロナウイルスの影響を受け鉄道でも変動運賃制の導入が検討されていますが、同様の仕組みは、高速バス以外の交通機関でも展開が期待されるといいます。「マジックプライス」を運営する空も、業界を横断したシステムの社会実装を目指す構えです。
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