「敵戦艦を撃沈せよ!」WW2で大戦果上げたイタリア特殊部隊の「水中バイク」とは

イタリア海軍に関する“名言”に「戦果の大きさと搭乗員の勇気は、艦艇の排水量に反比例する」というものがあります。第2次世界大戦中には、まさしくそれを証明したかのような、ふたり乗りの小型潜水艇がありました。

「木馬」から「豚」が出撃!

 第2次世界大戦時のイタリア海軍は、燃料の備蓄不足や訓練度の低下から大型主力艦を「現存艦隊」として直接戦闘に出さない消極的方針を採っていました。しかし、それとは逆にデチマ・マス部隊は積極的に数々の作戦に投入され、地中海の入り口にあたるイギリス海外領土のジブラルタル港では、「トロイの木馬」と呼ばれた偽装した中立国商船「オルテラ」の船腹から人間魚雷(水中バイク)S.L.C.型が度々出撃しました。そして1年間におよぶ作戦で5万4000トン余りの敵輸送船やタンカーを沈めています。

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魚雷ネットをカッターで切り開いて侵入を試みる、S.L.C.型に載った潜水兵たちのイメージ絵。循環式アクアラング装置により数時間の潜水が可能であった(吉川和篤所蔵)。

 さらに特筆すべき作戦が、エジプトのアレクサンドリア軍港への攻撃です。1941(昭和16)年12月18日深夜、接近した潜水艦シレーから発進したデ・ラ・ペンネ大尉が率いる3隻のS.L.C.型からなる人間魚雷戦隊は、夜陰に紛れて何重もの魚雷ネットの下を潜り抜け、哨戒艇の監視を逃れながら同港への侵入に成功します。

 1号艇に搭乗してイギリス戦艦「ヴァリアント」(排水量3万600トン)に近付いたデ・ラ・ペンネ大尉は、タッグを組む搭乗員の潜水具の不具合や、乗っていたS.L.C型の機関故障にもめげず、自力で魚雷弾頭を敵艦船底へセットすることに成功。見事、戦艦を大破させる大戦果を挙げたのです。

 前述のとおり、乗っていたS.L.C型が機関故障を起こしたため、両名はイギリス軍に捕まってしまったものの、目的は達成したといえるでしょう。

イラストで解説 水中バイクS.L.C型の攻撃方法

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