「敵戦艦を撃沈せよ!」WW2で大戦果上げたイタリア特殊部隊の「水中バイク」とは

イタリア海軍に関する“名言”に「戦果の大きさと搭乗員の勇気は、艦艇の排水量に反比例する」というものがあります。第2次世界大戦中には、まさしくそれを証明したかのような、ふたり乗りの小型潜水艇がありました。

「豚」と呼ばれた「水中バイク」なぜ?

 新たに開発された人間魚雷S.L.Cは、全長6.7mで、排水量は1.3トン、水深30mまで潜航でき、1.6馬力の電気モーターによって最大速度4.5ノットで航行可能な性能を有していました。そこでイタリア海軍は、潜水艦で敵の軍港(泊地)近くまで運び、隠密裏に敵の艦船を攻撃するという計画を立てます。

 具体的には、母艦となる潜水艦の甲板上に鉄製コンテナを設置、そこに人間魚雷S.L.Cを入れておきます。作戦開始時に潜水服を着て酸素ボンベなどを装着した特殊工作員(コマンド)2名が乗り込み、操縦して密かに港湾内に侵入します。

 浅い深度で目標の艦船に接近すると、S.L.Cから切り離した220kgから300kgの時限信管付き魚雷弾頭を、その船底に磁石付きクランプとワイヤーで吊り下げ、脱出後に爆破するという戦法が編み出されました。なお戦法を研究するなかで、生みの親であるテゼイ技術大尉が訓練時に「その豚にしがみつけ!」と声を掛けたことから、この新兵器は「マイアーレ」(豚)と呼ばれるようになりました。

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S.L.C.型に跨がる2名の潜水コマンド兵。この隠密兵器は防音性に優れた電気モーターを備え、人知れず湾内に侵入することが可能であった(吉川和篤所蔵)。

 こうしてイタリア海軍は、1941(昭和16)年3月に「第10M.A.S.(デチマ・マス)部隊」を編成します。同部隊は、この「マイアーレ」(豚)と名付けられた人間魚雷S.L.Cだけでなく、魚雷艇や、突入前に搭乗員が脱出するタイプの1人乗り爆装ボートなども装備。第2次世界大戦の推移とともに、ポケット潜水艦やS.L.C.型運搬用の潜水艦も配備され、それらの機材を扱う潜水工作専門部隊、通称「ガンマ遊泳部隊」も編成されました。

 また、それに伴い、潜水工作員たちが使用する、ピレリ社製の長時間潜水可能な循環式アクアラング装置やウエットスーツ、パネライ社製の防水腕時計や深度計なども新たに開発されています。

イラストで解説 水中バイクS.L.C型の攻撃方法

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