旅客機の「尻もち」なぜ発生? リスクある「前輪式」 それでも採用し続ける理由とは

旅客機の降着装置は、胴体後部に車輪のない「前輪式」のものを採用しているのが一般的です。このレイアウトは離着陸時、とある条件下では、「尻もち」を起こしやすいというデメリットも。それでも採用される歴史や背景を見ていきます。

試作段階でテストされる「尻もち対策」

 実は、大型ジェット旅客機でも、試作段階における最低速度離陸などの試験の際には、滑走路面と胴体の距離を最小限まで近づけて、離陸迎角をとるテストも実施されています。この際、試験用に尾部に特別な補強をして、そこが火花をちらす……という映像を筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)は見たことがあります。

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ANA機の胴体後部。多くの旅客機では、胴体の後方が絞られており、なおかつ上に上がっている(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。

 余談ですが、双発プロペラ機の前輪式の旅客機で、前輪が出ないまま無事に着陸した例がいくつかあります。近年であれば2007(平成19)年に高知空港で起きた「全日空機胴体着陸事故」が記憶に新しいところです。

 このときは主脚で着陸後、可能な範囲で機首を上げつつ減速したことから大事に至りませんでした。ジェット旅客機の場合は、着陸の際に「尻もち」を起こしてしまうと、機体構造を構成する外板が損傷する可能性があるため、機体全体の強度を確保してからでないと運用できなくなってしまいます。

 旅客機の外板はこれまで、アルミニウム合金である「ジュラルミン」が主体でしたが、最新鋭機の一部では、より軽くて強度の強い、複合材(カーボン)に変わってきています。ただ、複合材は摩擦への耐性は、ジュラルミンほど強くないと聞いていますので、この辺りのリカバリーが今後どうなるのか、筆者は興味をもっています。

【了】

【写真】万が一の際のフォローアイテム「テールスキッド」

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

3件のコメント

  1. JAL123便のときには、修理が完全でないというよりも、もともと過去に尻餅つかれていなければあんなことにならなかった、という意見をよく目にしますね。

  2. 重心位置に対して主輪が後ろにある前輪式のほうが設計的にはよいのでは?

    重心位置が抵抗となる主輪の後方にある尾輪式は左右主輪の転がり抵抗に僅かでもアンバランスが生じると

    簡単にスピンしますよね。小型機ならまだしも大型機にとっては致命的です。

  3. 尾輪式の方が前輪式より何倍も危険です。

    尾輪式は3輪が接地していると正面がぼほ見えないので、タキシング中は蛇行運転せざるを得ない。

    滑走中に急ブレーキを踏むと前転してプロペラを打つかもしくは容易に横転する。

    後ろの車輪は着陸最後まで付かないから直進が安定せず、横風に滅法弱い。

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