どこまで本気? 観察者を悩ませる北朝鮮の新型戦車M-2020 映像から見て取れることは

兵器の本質は「ハッタリ」

 このM-2020については、そもそも全てパレード用フェイクではないか、という指摘もあります。しかし完全なフェイクといい切るのも危険です。北朝鮮が中国経由でロシアの技術を入手した可能性は否定できないからです。北朝鮮は自家用車も量産していませんが、一方で小火器から弾道ミサイルまで兵器はコピー品ながらも製造する能力があり、外貨を稼ぐ重要な輸出品になっています。

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過去のパレードに登場したソ連製T-62をライセンス生産した「天馬号」戦車。対戦車ミサイルや対空ミサイル、対空機銃を付加している(画像:朝鮮中央テレビ)。

 パレードにはM-2020以外にも、日本の軽装甲機動車モドキやアメリカのストライカー装甲車モドキも登場していますが、狙いはなんでしょう。

 これはドローンなど無人偵察手段に対する欺瞞を狙ったという指摘があります。ドローンによる偵察は先のナゴルノ・カラバコフ紛争でも有効性が確認されていますが、モノクロの赤外線カメラ映像では、形が似ていると直ぐには識別できません。つまり実戦場での混乱を狙っているというのです。北朝鮮は、錯乱戦は得意分野です。ということは、日本やアメリカと「こと」を構えることまで準備しているのでしょうか。

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M-2020の後部映像。砲塔や車体後部に成形炸薬弾対策のスラットアーマーが装着されている(画像:朝鮮中央テレビ)。

 このパレードが北朝鮮の国力を示すとは、金 正恩氏自身、信じていないでしょう。どこまで本気なのでしょうか。

 兵器は使われないことが目的の、珍しい工業製品です。相手がその威力を信じて攻撃を思い留まれば、立派に機能を果たしたことになります。いわゆる「抑止力」です。つまり兵器の本質は「ハッタリの掛け合い」ともいえます。

 その意味でM-2020のデビューも、正しい使い方ではあります。もっとも肝心のバイデン新政権にどれほどアピールできたかは、推して知るべしです。

【了】

【画像】映像から見てとれるM-2020砲塔まわりのレイアウト詳細

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

2件のコメント

  1. ”ぼくのかんがえたさいきょうせんしゃ”という話だろうな。
    ごちゃごちゃし過ぎで重量も、使用電気量もそうといるから、エンジンの馬力をデカくしないといけないし、そうなると図体や搭載する燃料が…の悪循環になるのでは?

  2. こんなことよりさっさと国民のために良い政策の一つでもやれよ!