21世紀に入っても運用!? WW2期米ソの代表的戦車 M4「シャーマン」とT-34の「戦後」

朝鮮戦争ではT-34が優勢だったといわれているが…

 第2次世界大戦後、両車両が初めて本格的に対決した戦争である朝鮮戦争では、T-34の威力が発揮され、アメリカをはじめとした国連軍は慌てて、M26「パーシング」戦車の配備数を増やし、さらに手持ちの対戦車火器であるバズーカ砲の威力向上を行うなど、戦中のドイツ軍に起こった「T-34ショック」が再来したといわれています。

 しかし同戦争の全期間を通して主力戦車であったM4は、52口径76.2mm戦車砲を搭載したM4A3E8(通常:イージーエイト)と呼ばれる火力アップタイプで、序盤こそ押されましたが、数が揃うと北朝鮮軍や、中国義勇軍相手に有利に戦いを進めたという記録もあります。

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自衛隊富士駐屯地で保存展示されているM4「シャーマン」戦車(2012年1月、柘植優介撮影)。

 ほかにも、1948(昭和24)年6月、第1次中東戦争が一時休戦となった時期に、機甲戦力不足を懸念したイスラエル政府が大量に集めたM4のスクラップを改修、砲塔も新しく強力なものに変えるなどした、後にM1「スーパーシャーマン」戦車として知られる車両を、当時アラブ中東諸国陣営で主力だったT-34/85戦車に対抗する形で1950年代に投入しています。また、第1次、第2次印パ戦争でもインド軍がT-34を、パキスタン軍がM4を、カシミール地方の紛争で使用しています。

 さらにT-34は、1953(昭和28)年6月の東ベルリン暴動や、1956(昭和31)年10月のハンガリー動乱などの鎮圧用に使用され、度々ニュースなどに姿を現しています。また、ベトナム戦争、中越戦争、ソマリア紛争など、各地の戦争や紛争でもよく見かける存在でした。M4の方も、サンディニスタ革命(第1次ニカラグア内戦)で1979(昭和54)年に行われた革命鎮圧のための大規模な軍事攻撃の際に使用されました。

 やがて、M4はそうした歴史の舞台への登場機会が減っていきますが、その後もT-34はたびたび姿を現しています。多数のT-34戦車がが実戦で運用された記録として現在、残っている最新のものが、1990年代のユーゴスラビア紛争です。1991(平成3)年から1995(平成7)年のあいだに、当時のユーゴ内で発生したクロアチア紛争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、現地に残されたT-34がセルビアやクロアチアなど、各陣営で使用されました。

【写真】WW2期の戦車といえば…実寸再現されたドイツIV号戦車

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コメント

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3件のコメント

  1. M4は星型空冷エンジンのガソリン車とあるが
    M4にもディーゼルエンジンあるし
    ソ連にレンドリースされた
    この記事書いた
    斎藤雅道は知っているのかな

  2. T-34は2020年にイエメン内戦で使用されているのが確認されていますし、ウクライナ内戦で担ぎ出されたのはIS-2ではなくIS-3です。