旅客機の格納タラップなぜ見なくなった? タラップ車や搭乗橋が主流に その紆余曲折

旅客機に乗り込む際には、搭乗橋、もしくは「タラップ車」とも呼ばれる階段付きの車両を用いるのが一般的です。ただその歴史を見ると、機体自体に格納式の階段がついているなど、実は一筋縄ではいかないものだったのです。

車でも橋でもない乗り方 まだ日本にもあった

 このほか、機体に搭載するスタイルのタラップとして、「エアステア」も、ジェット旅客機の時代になってもなお、一部の機種で採用されています。

 JAL、ANAともに導入された3発機、ボーイング727をはじめ、ANAで導入されたロッキードL-1011「トライスター」などでは、実はエアステアが標準装備でした。とはいえ、「トライスター」の場合、日本の空港ではあまり使用機会がなかったように筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)は記憶しています。

 ちなみにターボプロップ機ではあるものの、戦後唯一の国産旅客機、YS-11の左最前方ドアには、ローカル空港での運用を考慮して、旅客タイプには原則として内蔵のエアステアが装備されていました。なお、2021年現在でも、コミューター会社が運航するターボプロップ機などでは、国内でもエアステアが健在の旅客機もあります。

Large 20210324 01
エアステアを出すオリエンタルエアブリッジ機(乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、「ジャンボジェット」の愛称で知られるボーイング747-200をベースにした、アメリカ大統領専用機VC-25「the presidential aircraft」では、特殊装備として機体前方左側に開くエアステアが追加装備されていたようで、それを用いるシーンはニュース映像などで確認できます。

 近年、駐機しているシップが出発する際、シップをけん引するトーイング・カーの世界では、ラジコン式のものが出現しているようです。ボーディング・ブリッジも、最新のものだと、ボタンひとつで最適な位置につけられるようになってきています。

 そのうち自動車の自動運転のように、タラップ車の世界でも、ボタンひとつで指定位置まで行くようになるのかもしれません。便利になる一方で、いわゆるグランド・ハンドリング業界の「花形作業」が、ボタンひとつに代わってしまうのは、それはそれで少しさみしいような気がするのは筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)だけでしょうか。

【了】

国内で少数!?旅客機の格納タラップ 機内ではどうなってる

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. DC-9系統(少なからず知っているのがMD-81,87,90)は、機体後ろにも階段があり、

    空港によっては、通常時でもそこから搭乗することもあったようです。

    • かなり前ですけど727で真後ろから降りた記憶があるのです。外国の国内線でした。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス