旅客機の格納タラップなぜ見なくなった? タラップ車や搭乗橋が主流に その紆余曲折
車でも橋でもない乗り方 まだ日本にもあった
このほか、機体に搭載するスタイルのタラップとして、「エアステア」も、ジェット旅客機の時代になってもなお、一部の機種で採用されています。
JAL、ANAともに導入された3発機、ボーイング727をはじめ、ANAで導入されたロッキードL-1011「トライスター」などでは、実はエアステアが標準装備でした。とはいえ、「トライスター」の場合、日本の空港ではあまり使用機会がなかったように筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)は記憶しています。
ちなみにターボプロップ機ではあるものの、戦後唯一の国産旅客機、YS-11の左最前方ドアには、ローカル空港での運用を考慮して、旅客タイプには原則として内蔵のエアステアが装備されていました。なお、2021年現在でも、コミューター会社が運航するターボプロップ機などでは、国内でもエアステアが健在の旅客機もあります。
なお、「ジャンボジェット」の愛称で知られるボーイング747-200をベースにした、アメリカ大統領専用機VC-25「the presidential aircraft」では、特殊装備として機体前方左側に開くエアステアが追加装備されていたようで、それを用いるシーンはニュース映像などで確認できます。
近年、駐機しているシップが出発する際、シップをけん引するトーイング・カーの世界では、ラジコン式のものが出現しているようです。ボーディング・ブリッジも、最新のものだと、ボタンひとつで最適な位置につけられるようになってきています。
そのうち自動車の自動運転のように、タラップ車の世界でも、ボタンひとつで指定位置まで行くようになるのかもしれません。便利になる一方で、いわゆるグランド・ハンドリング業界の「花形作業」が、ボタンひとつに代わってしまうのは、それはそれで少しさみしいような気がするのは筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)だけでしょうか。
【了】
Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)
成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。
DC-9系統(少なからず知っているのがMD-81,87,90)は、機体後ろにも階段があり、
空港によっては、通常時でもそこから搭乗することもあったようです。
かなり前ですけど727で真後ろから降りた記憶があるのです。外国の国内線でした。