安い!速い!イタリアン「豆戦車」 作りまくったら戦争で足かせに

豆戦車をイタリアが独自にアレンジ

 CV29を製作するフィアット・アンサルド社は、その後、同車を徹底的に研究し、同様の走行性能を持ちながらエンジンを後ろに移して密閉式戦闘室を備えた武装タイプと、オープントップの無武装・物資運搬タイプの2種類、新車種を試作します。その結果、6.5mm口径の機関銃を1丁装備した武装タイプがCV33型(後にL3/33型に改称)として制式化されました。

 同車はエンジンも43馬力と出力が向上しており、路上では最大速度42km/hを発揮することから、「CV:快速戦車」の名に相応しいものでしたが、装甲厚は正面でも14mmしかなく、戦車と呼ぶには貧弱で、せいぜい小銃弾や機関銃弾を防ぐ程度の防御力しかありませんでした。

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イギリスから輸入したカーデンロイド豆戦車に6.5mm口径のフィアット製空冷機関銃を搭載したCV29型豆戦車。後のCV33型より小型で、エンジンや操縦席の位置も異なっていた(吉川和篤所蔵)。

 それでも戦車としては安価であったことから、各タイプ合計で2000輌以上が生産されて自国のみならず、ブルガリアやオーストリア、ハンガリー、スペイン、クロアチア、ギリシア、イラク、アフガニスタン、ブラジル、ボリビアにも輸出されています。

 なお、1937(昭和12)年からまとまった数のCV33型が中国に輸出され、日中戦争では中国軍戦車として旧日本軍を相手に戦っています。

【写真】こいつ動くぞ! イタリアに現存 走るCV豆戦車

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