京急の新造1000形中間車 制御装置を搭載しているのになぜ「サハ」? 理由を聞いてみた
京急が新造した1000形1890番台は4両編成の電車で、中間車はパンタグラフや制御装置を搭載しているにもかかわらず、付随車の「サハ」です。いったいどういう理由からなのでしょうか?
「サハ」の1両にはパンタグラフも搭載
京急が新造した1000形1890番台は、座席指定列車やイベント列車に対応するためにクロスシートやロングシートにできる自動回転式シート、トイレを装備したのが特徴の4両編成の電車です。
先頭車は制御電動車「デハ」(国鉄などの場合はクモハ)ですが、中間車の2両は付随車、いわゆる「サハ」です。しかし中間車にはモーターを制御して速度を上げたり落としたりするためのVVVFインバータ制御装置を床下に搭載し、そのうちの1両は屋根上にシングルアームパンタグラフも搭載しています。制御装置は電動車に搭載される例がほとんどですが、なぜ「サハ」なのでしょうか?
「自動回転式シート自体が重いこともあり、先頭の電動車に制御装置を搭載すると35tを超えてしまうため中間の付随車に制御装置を搭載しました」(京急電鉄)
京急の車両は、都営地下鉄浅草線と京成線への相互直通運転を開始するにあたり、東京都交通局、京成電鉄との3社で取り決めた「1号線直通車両規格」に則して造られています。その規格では、1両あたりの車両の重量は35tまでとなっているのです。
では中間車も電動車の「デハ」(国鉄などの場合はモハ)にすればいいかと思いますが、電力を得て車輪を回転させる動力を生み出す主電動機(モーター)や動力を車輪に伝える駆動装置を搭載すると、こちらもやはり35tを超えてしまうのだそうです。
そこで中間車は付随車のまま制御装置やパンタグラフを搭載。その結果、1000形1890番台の先頭車の重量は34.5t、パンタ付きの中間車が33.0t、パンタなしの中間車は30.5tと、それぞれ重量条件をクリアすることができたのです。
付随車の屋根上にパンタグラフを搭載する例は初代「のぞみ」の300系新幹線電車をはじめ、国鉄781系特急形電車やJR北海道785系特急形電車、JR西日本683系特急形電車、JR九州883系特急形電車などで見られます。しかし制御装置を付随車に搭載した例は珍しく、2016(平成28)年6月まで札幌市営地下鉄東豊線で使われた7000形電車ぐらいかもしれません。
【了】
今はなき京急2000に4両編成が登場すると聞いて、結局先頭付随車が必要になるではないかと思ったら、先頭電動車にこだわるあまり中間付随車の床下に主回路を引き回したことがわかってびっくりしました。そんな例はいくつかあると思いますが例えば長野電鉄8500もです。
4両で1ユニット?
要は制御装置でなく、モーターがあるかないかでは?>デハ(モハ)とサハの違い
東武の 8000 系にはかつて 2 両編成がありました。これは 1M1T の構成でしたが、東武 8000 系は国鉄 103 系などと同じく機器類を 2 両に分散して搭載していたため、Mc+T'c となっていました。この T'c も、「見た目はクモハだけど実はクハ」の例ですね。
1号線直通車両規格の申し合わせで自重を35t未満にする決まりがあるのは初めて知りました。
サハに静止形インバータを搭載したり交直流電車で主変圧器を搭載する例は結構ありますが、主電動機のない車両に主制御装置を搭載する例は初めて知りました。
新1000系、ビール電車とか、イベント電車で使われるから楽しみー!
京急本線を走る時は、けいきゅんが出てくるから面白い🤣