TDA/JASの「レインボーカラー」はエアバス社との“愛の証”だった! その紆余曲折
のちの巨大メーカーを動かしたTDA
当時、エアバス社にとってTDAは、日本参入への大切なパートナーのひとつであった一方、政治的な理由でおもにローカル線しか定期便を飛ばせなかったTDAにとって、A300は、伸び続ける航空需要をつかむだけでなく、未来の国内幹線へ本格参入を見据えた機体だったことでしょう。そして、両社の相思相愛は、TDAの機体デザインまで変えてしまうことになります。
それまでTDAの塗装は、グリーン&レッドの2色のチートライン(窓枠に沿った線を施す塗装)を引き、垂直尾翼でそのラインを上に曲げたものでしたが、1980(昭和55)年にA300導入初号機が飛来した際、新塗装をまといます。これが、先述したA300が入間でデモフライトした際にまとっていた「レインボーカラー」だったのです。
当時の筆者(種山雅夫、元航空科学博物館展示部長 学芸員)は1号機を見た時、スペシャルマーキングかなと考えていたのを記憶していますが、その後日を追うごとに、順次この「レインボーカラー」の機体が増えていきました。つまり、エアバス社製機のカラーリングを「TDAの塗装」として譲り受けることができたのです。
TDAのA300採用については、機体購入にあたり資金調達が優遇されたことが大きな要素でありましたが、入間でのエアバス社の取り計らいにTDA側が感動し、頼みこんだ結果、コーポレートカラーを無料で提供されたことなどのハナシが飛び交っています。いずれにせよ、エアバス社とTDAがほぼ対等、まさに相思相愛の関係をもったうえで、この塗装が実現したともいえるかもしれません。
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