「腕3本欲しい…」隊員泣かせ10年で退役 犬っ鼻戦闘機「セイバードッグ」日本への寄与

「腕が3本欲しい!」忙しかったパイロット

 航空自衛隊にとっては、画期的なF-86Dでしたが、そのぶん操縦も非常に大変でした。地上管制官の無線を頼りに計器飛行して目標に接近。たくさんのレーダー機器のスイッチを操作しながら、スコープに表示される要撃コースに沿って慎重に操縦しなければなりません。しかも武装は、原型のF-86AやF-86Fでは装備していた機関銃が撤去され、威力は高いけれど撃ちっぱなしの無誘導ロケット弾であったため、撃ち損じれば任務は失敗です。

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F-86D「セイバードッグ」戦闘機の操縦の仕方(リタイ屋の梅作画)。

 当時のパイロットは、その忙しさから口を揃えて「腕が3本欲しい!」と言ったとも。

 加えて、レーダー以外にもさまざまな機器を追加したことによる重量増加で、高推力を得るための排熱への燃料噴霧装置、いわゆる「アフターバーナー」を用いないと離陸ができず、燃料を食うため航続時間が極端に短いといった難点や、機体重量ゆえの鈍重さから戦闘機相手の空中戦には向かないという欠点もありました。

 このような理由から、F-86Dは、「ブルーインパルス」にも使用されたF-86Fと同じ「セイバー」一族と思えないほどの戦闘機だったようです。

【貴重】航空自衛隊F-86D 現役時代の雄姿

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