なぜ「家庭ゴミ」を鉄道で? 自治体による日本初の専用貨物列車が救った危機

川崎市には家庭ゴミを専門に運ぶ貨物列車が走っています。日本初の試みとして誕生したこの列車は、市の「非常事態」を救いました。

きっかけは川崎市の「ゴミ非常事態」宣言

 コロナ禍で運送業の需要が高まるなか、少ない人手で効率よく物を運べる貨物列車が注目されています。石油や鉱石、工業製品、食品、宅配便などを運ぶ列車もありますが、川崎市ではなんと、「家庭ゴミ」を専門に運ぶ列車がJR線で走っています。

 川崎市のごみ処理を担当する市環境局は、家庭ゴミの輸送に20年以上も前から貨物列車を活用しています。一般的なゴミ収集車(パッカー車)や大型トラックだけではダメなのでしょうか。

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家庭ゴミを専門に運ぶ貨物列車「クリーンかわさき号」(乗りものニュース編集部撮影)。

 家庭ゴミ専用列車が誕生した背景を見ていくと、かつて川崎市が直面していたゴミ問題に行き当たります。川崎市は1990(平成2)年、「ごみ非常事態」を宣言するほど窮地に追い込まれていました。

 市域が南北に長い川崎市は、大きく北部の内陸部と南部の臨海部に分けられます。北部エリアは当時、東京都心のベッドタウンとして急成長を遂げ、著しく人口が増加していました。結果として、北部で焼却場の処理能力を超える大量のゴミが出されていたのです。そのため、一刻も早く焼却場を増設する必要がありましたが、住宅地として発展した北部に新設する余地は残されていませんでした。

 その危機を救うこととなったのが貨物列車です。1995(平成7)年、臨海部に浮島処理センター(川崎区)が建設され、北部のゴミを南部の施設へ送ることで、深刻なゴミ問題の解決を図ろうとしたのです。

 そして、このゴミの輸送専用に誕生した貨物列車が「クリーンかわさき号」です。狭い道路が多い川崎市では、トラックのみでゴミを運ぼうとした場合、激しい渋滞を招いてしまう可能性が高く、加えて膨大な排気ガスを排出することにもなりかねません。貨物列車に着目することで、それら課題をクリアしました。

「クリーンかわさき号」は2021年現在、日曜日と正月三が日を除く毎日1往復、北部にある梶ヶ谷貨物ターミナル駅(宮前区)から、南部の川崎貨物駅と末広町駅(いずれも川崎区)まで約27kmの距離を走っています。

【了】

【地図】家庭ゴミ専用貨物列車の運行ルート

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