米軍「格安で戦闘機買わない?」空自が断ったワケ 在日米軍エースF-102A「デルタダガー」

東西冷戦が生んだ爆撃機専用迎撃機F-102Aとは

 F-102Aはいわゆる「東西冷戦」の時代、ソ連(現ロシア)の爆撃機を阻止するため、レーダーサイトや防空指揮所などからなる「半自動式防空管制システム」と連携できる迎撃専用の戦闘機として開発された機体です。

「デルタ翼」と呼ばれる大きな三角形の主翼が特徴で、長い胴体の中にはヒューズ社製AIM-4「ファルコン」誘導ミサイル6発を収め、機首には同じくヒューズ社製の高性能FCS(火器管制装置)を備える、当時としては強力な迎撃機でした。1950年代後半、F-102Aは西側陣営における防空のエースとして世界各地に配備されます。

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アメリカ空軍州兵のコンベアF-102A「デルタダガー」戦闘機((画像:アメリカ空軍)。

 F-102Aは、在日米軍基地でも1960(昭和35)年から三沢、横田、板付(現・福岡空港)に配備され、まだ作戦能力の低かった航空自衛隊をサポートする形で日本の空の護りに就きました。

 しかしF-104J「スターファイター」の導入・配備で航空自衛隊の対領空侵犯措置(スクランブル)能力は著しく向上し、在日米軍が日本の防空に就く必要性が薄れていきます。さらに当時、アメリカ国防総省トップであったロバート・マクナマラ長官が打ち出していた国防費削減策も影響し、F-102A飛行隊の日本撤退が決定。結果、余剰化したF-102Aが自衛隊に格安で提示されたのです。

 このセールスに悩んだのが航空自衛隊。中古とはいえアメリカ軍が装備する第一線クラスの戦闘機が破格で買えるのですから。またF-104Jは赤外線誘導ミサイル「サイドワインダー」しか運用できないのに対し、F-102Aはレーダー誘導ミサイル「ファルコン」を搭載できるのも魅力でした(当時、空自はレーダー誘導の「スパロー」ミサイルは未導入)。

 さらに当時の航空自衛隊では、当初予定したF-104Jの生産数では部隊に充足しないことが判明。大蔵省(当時)との折衝においても追加生産がなかなか認可されず困っていました。そういったことがあったため、もしかすると航空自衛隊にはF-102Aが魅力的に見えていたかも知れません。

【Uの字形の操縦桿!】特徴的なF-102A「デルタダガー」のコックピットほか

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コメント

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2件のコメント

  1. photo2の4機編隊は垂直尾翼の形状からデルタダートでは?

    • ご指摘ありがとうございます。修正(削除)しました。