「2階席=高嶺の花」とは限らない!? 旅客機アッパーデッキ事情 なぜ日本は2階に普通席?
変わった747には変わったレイアウトが…?
たとえば、KLMオランダ航空では、747-400の貨客混載タイプを採用していました。この機は、ファーストクラスの設定はなく、アッパーデッキと1階最前列にビジネスクラス、その後方にエコノミークラスが設定されています。なお、混在型の特徴である貨物室は、メインキャビンの胴体後部にあります。
747シリーズで異色の存在といえるのが、胴体を短縮して、その重量を燃料に使用して航続距離延長を図ったタイプ「747SP」です。アメリカン航空や、カンタス航空の747SPはビジネスとエコノミーの2クラス制で、アッパーデッキと1階前方にビジネスクラス、1階後方にエコノミークラスといったレイアウトだったようです。
なお、同機のローンチカスタマーであり、東京~ニューヨーク線で初めての直行便運航を果たしたパンアメリカン航空では、アッパーデッキと1階最前方がファーストクラス、1階中央部がビジネス、後方がエコノミーといったレイアウトが一般的でした。
ちなみに、現在の2階建て機の主力であるエアバスA380では、2階に上位クラス、1階にエコノミークラスを設けることが多いようです。ただ、かつてのシンガポール航空ではファーストクラスに相当する最上位クラス「スイート」を1階席に設置していたこともあったようですが、最新仕様ではアッパーデッキに移されています。シンガポール航空のスイートは、フルフラットベッドが搭載されています。
なお、A380は、ANAが成田~ホノルル線専用機として導入したことで、国内では大きな注目を集めました。ただ、2021年現在は、コロナ禍の影響で運用からは外れており、地上で多くの時間を過ごしているようです。もしこの機を国内線に投入できれば、その超巨大な収容力を生かせると筆者は願っているのですが、現実そうもいかないようです。そのことについては、また機会があれば紹介できればと思います。
冒頭にご紹介したJALのアッパーデッキにあったラウンジ、一度乗ってみたかったものです。
【了】
Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)
成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。
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