『紅の豚』キャラが実在? 100年前の日本を沸かせたイタリア複葉機の縁 なぜか空自浜松に保存

第1次大戦後半にイタリアが開発した国産飛行機S.V.A.シリーズ。高速性に優れていたため、偵察機や爆撃機、練習機など幅広く使われ、1920年には日本にも来ています。そしていま、自衛隊の浜松基地にも同型機が。その理由をひも解きます。

日本での熱烈歓迎 浜松にあるS.V.A.9の正体

 広東ではマシュロ機、フェラーリン機ともに熱烈な歓迎を受けたものの、上海へ向けて離陸という時に、マシュロ機は樹木に引っ掛かり水田に墜落、乗員2人は無事だったものの機体は全損してしまいます。

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1920年5月31日、東京の代々木練兵場に到着した2機のS.V.A.9型機を讃えて発行された日本の彩色絵葉書。絵柄は同時着に見えるが、実際はマシェロ機に15分遅れてフェラーリン機は到着した(吉川和篤所蔵)。

 そこでフェラーリン機が先に上海へ飛び、マシェロ達は船で向かい、そこで予備機を受取るということになりました。上海では中国側から、青島では日本側から、さらに北京でも中国側の祝宴を受けながら東京を目指しましたが、この頃には台風の影響もあって、この間の移動に20数日を費やしています。

 とはいえ朝鮮半島を経由して、5月30日に大阪、翌31日に各務原(岐阜)へと着陸した両機は、その日の午後に東京の代々木練兵場へ着陸、ローマから東京まで全行程約1万8000kmの大飛行を成功させました。

 なお、全行程は108日間かかったものの、飛行日数は27日間で飛行時間は累計112時間、計算上の巡航速度は160km/hとなります。しかもフェラーリン機は、他機と違い一貫して飛び続けたため、同一機による欧州~極東間の飛行に世界で初めて成功。その雄姿を見ようと代々木練兵場(現在の代々木公園)には20万人もの群集が集まりました。

 このような偉業を成し遂げたフェラーリンら一行は、大正皇后陛下への謁見を始めとして、祝賀会などに連日招待されたそうで、いかに歓待されたかわかります。彼らは6月16日に代々木練兵場を飛び立ち、日本国内で感謝飛行をした後、船で帰国の途についたのでした。

 なお、世界で初めて極東への同一機飛行を成し遂げたフェラーリン機(S.V.A.9型機)は日本に残され、東京九段にある靖国神社遊就館で展示されていたものの、1945(昭和20)年5月の空襲で焼失してしまったため、現存していません。ただし、極東飛行50周年となる1970(昭和45)年に開催された大阪万博で、原寸模型がイタリア館において展示されました。

 これが万博終了後、日本に移譲。ということで、冒頭に述べた航空自衛隊の浜松広報館(エアーパーク)にあるS.V.A.9型機は、戦後イタリアが作ったレプリカです。

 ちなみに第2次世界大戦後、イタリアの航空会社アリタリア航空では、かつての大飛行の偉業を称えて自社のボーイング747と767旅客機各1機にアルトゥーロ・フェラーリンの名前を機首に描き、両機は世界を飛び回りました。

吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)

【アニメよりもイケメン?】実在のフェラーリン操縦士

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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コメント

1件のコメント

  1. アンサルドグループのアンサルドトランスポルティが機関車などを造っていたが、同業のブレダと合併しさらに日立の英国法人の傘下となり現在は日立レール(伊)を名乗っているのですね。

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