新幹線運転士から宇宙飛行士まで その厳しすぎる採用条件 「立ち泳ぎ10分」できる?

宇宙飛行士への道のりはやっぱり遠かった

 空の乗りものも、採用にはかなり高いハードルがあります。

●戦闘機のパイロット

 こちらも訓練に次ぐ訓練の連続。まず航空自衛隊の戦闘機パイロットになるには、高校卒業後に航空学生として入隊するか、もしくは防衛大学校や一般大学から幹部候補生として航空自衛隊の幹部の卵として戦闘機の道に進むかの2種類あります。

 たとえば航空学生の場合は、パイロットを目指してひたすら2年間、教育隊で研鑽を積んだのち、飛行準備教育を経て「初等練習機」と呼ばれるプロペラ機での操縦訓練に進みます。その後、ジェット練習機での操縦訓練(前期、後期)で約1年。これでパイロットの証である「ウィングマーク」を取得できますが、その後もジェット練習機での操縦訓練を8週間、F-15などの戦闘機での操縦訓練を30週以上経て、ようやく第一線の戦闘機部隊へ配属されるのです。

 そのため、一説には操縦訓練を始めて部隊配属まで3年半~4年ほどかかるといいます。また常に学力や適性で審査され続けるため、戦闘機パイロットに向いていないと判断されれば即コースアウトになります。こちらも一説によると、「ウィングマーク」取得までに3~4割が脱落するといい、さらに「ウィングマーク」取得後も適性などから戦闘機ではなく輸送機や救難機、ヘリコプターなどに回されることも多々あります。

 部隊配属後も、定期的に受ける航空身体検査で不備が見つかれば、戦闘機から降りなければならないため、常に第一線で戦闘機を操り続けるのは絶え間ない努力が必要と言えそうです。

●宇宙飛行士

 いよいよ最後は宇宙飛行士です。JAXA(宇宙航空研究開発機構)で最近あった宇宙飛行士の募集は2008(平成20)年。応募者963名のうち合格したのはたった2名(2009年9月に1名を追加採用)とかなり狭き門です。その条件を見てみると……まず大学で理学部や工学部など自然科学系の知識を学んだ者であること、そして、その研究や開発など3年以上の実務経験を有することとあります。これだけでかなりのハードルの高さです。

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ZOZOの前澤友作さんが搭乗予定の「スターシップ」テスト機(画像:スペースX)。

 そのほか、水泳で75mが泳げること、また10分間立ち泳ぎが可能なことという体力面の条件もあります。さらには日本人宇宙飛行士としての教養があるか、10年以上JAXAに勤務が可能で、かつ長期間にわたり海外での勤務が可能であること、という条件も。人生を宇宙に捧げる覚悟が求められるといえるでしょう。

 JAXAの「宇宙飛行士募集に関する資料集」には、2021年秋頃から民間企業と連携しながら、13年ぶりに新たな宇宙飛行士の募集が開始される予定と書かれています。この難関をくぐり抜け、憧れの宇宙飛行士となるのはどんな人なのでしょうか。

【了】

Writer: 吉原あさお

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コメント

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1件のコメント

  1. 新幹線の運転士ってほとんど高卒だよね
    そういう意味じゃ学歴不問なのはハードルは低い方ね