爆弾が跳ねる!? イタリアが「変人」と名付けたドイツ急降下爆撃機で行った攻撃法とは

第2次大戦においてドイツ軍が多用した急降下爆撃機のJu-87「スツーカ」。実はイタリア空軍でも使用していました。なぜドイツ製急降下爆撃機を用いるに至ったのか、そしてドイツとは一風変わったその使い方について見てみます。

イタリア人が史上初めて行った新戦法

 その頃、イタリア空軍は限られた機数で地中海の艦船を攻撃する方法を模索していました。そのなかで、第97急降下爆撃航空群のジュゼッペ・チェンニ大尉は、急降下爆撃とは異なる反跳爆撃(スキップボミング)を着想します。

 これは、目標である敵艦船に対し、海面すれすれに迫りつつ水平飛行しながら爆弾を投下、爆弾は川面に投げた小石の様に跳飛しながら、敵艦船の舷側にぶつかり爆発するという攻撃方法でした。「水平爆撃」とも「急降下爆撃」とも異なる、“新戦法”といえる投弾方法であり、同様の戦法はアメリカ海軍やイギリス空軍も研究していましたが、史上初めて実戦で用いたのはイタリア空軍でした。

Large 20210711 01
チェンニ大尉が行った反跳爆撃(スキップボミング)の解説図。投下角度が急過ぎても高度が高過ぎても、舷側にはうまくヒットしない難しい戦法であった(吉川和篤作画)。

 1941(昭和16)年4月4日、ギリシャ北西部ケルキラ島付近の同国輸送船団に対してチェンニ大尉はこの反跳爆撃を敢行、輸送船「ササナ」(930トン)を見事撃沈し、護衛の砲艦「プッサ」(240トン)を大破させます。ギリシャ海軍はその新戦法に驚き、当初は魚雷攻撃を受けたと勘違いした程でした。なお第97急降下爆撃航空群は同月13日には水上機母艦「ツマイ」(1870トン)を大破させ、チェンニ大尉自身も続く戦果としてケルキラ湾で汽船「イオアナ」(1100トン)を沈めています。

 5月に入ると、同航空群は北アフリカのトブルク包囲戦に参加、イギリス輸送船団を迎え撃ちます。5月25日、7機のJu-87「スツーカ」は味方戦闘機による援護の下、タンカー「ヘルカ」(3740トン)と砲艦「グリムスバイ」(1990トン)を撃沈。6月29日には部隊はサルーム沖で駆逐艦「ウォーターヘン」(1110トン)を沈め、翌30日の船団攻撃では砲艦「クリケット」(625トン)を大破させました。

 ただ、この後は、消耗を続ける一方で大きな戦果を挙げることはなく、最終的に全機が本土に引き上げたため、イタリア人パイロットによるドイツ製急降下爆撃機による対艦攻撃は終わりを迎えています。

 Ju-87「スツーカ」というと、ドイツ軍による敵陸上目標への急降下爆撃や、3.7cm機関砲を搭載しての対戦車攻撃がよく知られますが、実はイタリア空軍も多数運用しており、対艦攻撃でも戦果を挙げていたのです。

【了】

【ドイツ機に負けた】失敗作のイタリア製急降下爆撃機

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス