北陸新幹線福井駅が国内最小の「1面2線島式ホーム」になったワケ 未開業でも完成12年目

福井駅建設までの紆余曲折

 福井駅は、2004(平成16)年の政府与党申合せにおいて翌年度に着工を目指すとされた新幹線区間のひとつにリストアップされました。これは、北陸新幹線の先行開業区間の長野~金沢間と同じタイミングです。そして2005(平成17)年に予算10億円が割り当てられ着工。2009(平成21)年に駅周辺約800mの高架が完成し、2021年で"12歳"を迎えます。

Large 210721 fukui 06

拡大画像

JRとえちぜん鉄道の福井駅の横断面図(画像:鉄道・運輸機構)。

 福井駅のみ先行して工事が行われた背景として、福井駅周辺ですでに進行中だったJR北陸本線およびえちぜん鉄道(当時は京福電鉄)の連続立体交差事業があります。実際、えちぜん鉄道の福井駅周辺の高架化にあたっては、先に完成していた新幹線の高架を仮線として「間借り」しながら、隣に本線の高架を建設するという調整が行われました。

 さてその先行工事される福井駅の新幹線駅ですが、もともと、高架化予定の京福電鉄のさらに上に一体的に建設されるという、「3階建て構造」で福井県が事業認可案を進めていました。しかし、2005年度の予算割り当てを見越して事業認可申請を行う段になり、国土交通省の提示した「別々の駅として建設」という案を進めることになりました。

 その結果、新幹線駅はJR在来線とえちぜん鉄道に挟まれたスペースに別途作ることになり、1面2線の狭い構造となったのです。

 このように3階建て一体構造から2階建て別構造に変更された背景としては、コスト削減や在来線への乗り継ぎ時間の短縮を図ったというほかに、一体として工事を進めるはずだった京福電鉄が2000(平成12)年および2001(平成13)年の衝突事故をうけて運行休止、そのまま廃止という事態に陥ったことも考えられます。

 京福電鉄の廃止をうけ、福井県が中心となる第三セクター・えちぜん鉄道が2002(平成14)年に発足。翌2003(平成15)年に元京福の路線の大部分を運行再開します。しかし、京福の運行休止の時点ですでに「新しい福井駅の3階建ての2階部分には、もう電車は来ない」という前提で計画を見直さざるを得なかったのでしょう。

【了】

【新幹線駅で現在「日本一シンプル」な三島駅ホーム】

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 関西方面まで今までは乗り換えが絶対条件だったけど、現在は福井まで出来ているので、開通が待ち遠しいです。

  2. 新神戸も同じと思いますが、
    もっともこちらは前後トンネルですので。

  3. 新神戸は2面2線の相対式ホームじゃありませんでしたっけ。