宇宙ステーションで事故、どの国の法律適用? 実はある国際ルール 野口宇宙飛行士に聞く

ISS(国際宇宙ステーション)は参加国が分担してモジュールを建造し合体させています。また、そこで暮らす宇宙飛行士も各国から集まってきており、背景や考え方もバラバラです。そのようななかで暮らす決まりゴトを野口聡一宇宙飛行士に聞きました。

宇宙ステーションでの決まりゴト

――ちなみに、モジュールごとに何かローカルルールを決めているようなことはあるのでしょうか。

野口:そうですね、法的な部分はお話ししたので、技術的な話にしましょう。たとえば火災が起きたときに、ロシア側とアメリカ側で、使っている電力管理システム、電子システムなどが違うので、その部分でアプローチは違います。ですから、ロシアで火災が起きたらこういう対処をしなさい、アメリカ側で起きた場合はこういう対処をしなさいというふうに、国籍(出身)がどうこうというのではなくて、その場所(モジュール)に応じた安全対策が設けられています。それは日本も同じで、日本の実験棟「きぼう」についてはこういうふうに対処して下さい、というのはしっかりとやります。自分たちの対応方針を訓練するのは権利であり義務です。

――なるほど。何かあったらそこにいる宇宙飛行士の皆さんだけで対処しなければならないですから、事前の確認と訓練は大切ですね。

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船外活動を行う野口宇宙飛行士(画像:JAXA/NASA)。

 野口飛行士がいう「クロス・ウェーバー」とは、互いに相手の権利に関して、請求権は行使しないという取り決めです。いわば「お互い様の原則」のようなものといえるでしょう。

 ISSにかかわる国際法や取り決めは、「宇宙の憲法」とも呼ばれる宇宙条約をはじめ、宇宙救助返還協定や宇宙損害責任条約、宇宙物体登録条約といった宇宙に関する4条約を基礎としてさまざまなものがあります。

 「クロス・ウェーバー」については、参加各国間で結んだ「国際宇宙ステーション協定」(平成13年条約第2号)の第16条に書いてあります。ここは「責任に関する相互放棄」と題され、様々な場合を想定した内容が盛り込まれています。

 ただし、いかなる場合でも請求権を放棄するというわけではなく、悪意があった場合や知的所有権に関わる場合は例外になります。「お互い様だけど、わざと悪さをしたり、依頼された研究成果などを盗んだりした場合は違いますよ」ということだといえるでしょう。

【イラスト解説】米ロの宇宙服を見比べ

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