高速バスで密避け通勤、新路線もっと増える? 開設の条件とは【高速バス新潮流・短距離路線】
県庁職員の人事も高速バスは掴んでいる!?
札幌や福岡など中核都市、また県庁所在地クラスの都市では、衛星都市やニュータウン発の通勤通学に特化した路線は少ない代わりに、近隣の都市を結ぶ都市間路線が、途中停留所からの通勤通学需要で対応しています。札幌~小樽線、仙台~山形線、広島~呉線、福岡~北九州線や佐賀線などは、朝夕ラッシュ時には5~10分間隔と頻発しています。
これらも近郊に住む人が都市へ向かう需要に応えるものですが、なかには、一見すると“逆方向”の需要に主眼を置いているものもあります。たとえば県庁所在地から県内第二、第三の都市への通勤需要に配慮がなされているようなケースがあるのです。
例えば長野~松本線は、県内の二大都市を結ぶ路線ですが、平日のみの運行で、途中の停留所から両都市への通勤通学の比重が大きいことがわかります。特徴的なのは、14往復(一部運休中)あるうち、朝の長野→松本の1便のみ、松本バスターミナルではなく、郊外にある「松本合同庁舎」へ直行する点です。ここは県の支庁舎の一つです。つまり、人事異動によって松本勤務となった県庁職員の長距離通勤で成立しているダイヤと言えます。
宮崎~都城線は、朝の宮崎→都城の1便のみ、宮崎駅を発車後、郊外住宅地である生目台を経由してから都城に向かいます。県庁のほか、地元の銀行や農協など県内で人事異動が行われる組織は多く、こちらも宮崎から都城への長距離通勤が多いようです。
長野→松本では目的地側で、宮崎→都城は出発地側で工夫している点では対照的なものの、前者では、長野インター前停留所にパーク&ライド用の駐車場があり長野市全域から集客し、かつ合同庁舎直行便の5分後に通常の松本市内への便を設定してあることから、合同庁舎の職員以外はそちらを利用しているようです。
このように、地域の通勤ニーズにきめ細やかに対応している高速バスを、もっと様々な場所で走らせられるのでは、とも思う人もいるかもしれませんが、課題も存在します。
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