歴史は繰り返す!? 70年前に計画の“空飛ぶ上陸用舟艇” コンベア「トレードウインド」飛行艇

2021年9月、アメリカ空軍がC-130輸送機の水上機仕様を開発中と公表、話題になりました。しかし似たような用途を目指した飛行艇を70年ほど前にアメリカ海軍も考えていたようです。いったいどんな飛行機だったのでしょう。

エンジンに泣かされ短期間で飛行停止へ

 こうして本機は、東西冷戦がいよいよ本格化しつつあった1956(昭和31)年に実戦部隊への配備が始まりました。また同年には、空中給油機に改造された「トレードウインド」が、左右の主翼に2か所ずつ、計4か所からグラマンF9Fクーガー戦闘機4機に対し、同時に空中給油するという快挙を成し遂げています。

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XP5-Y実験飛行艇のアリソンT-40ターボプロップ・エンジンと二重反転プロペラ。このエンジンが改良型のR3Y「トレードウインド」の部隊運用に際して大きなネックとなった(画像:アメリカ海軍)。

 ところが本機は、重大な問題を抱えていました。それは、搭載するアリソンT-40ターボプロップ・エンジンの信頼性がきわめて低かったことです。アメリカ海軍およびコンベアはT-40の不調を改善しようと手を尽くしてみたものの、結局はうまくいきませんでした。

 最終的に「トレードウインド」は1958(昭和33)年に飛行停止措置が取られるまでに至り、製造はXP5-Yが2機、R3Y-1が5機、R3Y-2が6機の計11機で終了、これらの機体も処分されることとなったのです。ちなみに、この11機中、4機がエンジン故障で失われた事実を鑑みると、問題の深刻さがわかります。

 とはいえ、当時のアメリカ海軍は、万一、東西冷戦が「熱戦」、要は実戦になったとしても、東側に対して上陸作戦を決行する機会はあまりないと考えていました。そのため、「空飛ぶ高速上陸用舟艇」の必要性は低く、この構想をさらに煮詰めて新型機を造る、すなわち「トレードウインド」の後継を考えるといったことはありませんでした。

 かくして、アメリカ軍からは輸送飛行艇というコンセプトを持つ機体は、事実上なくなっていたのですが、半世紀以上が過ぎた今日に至り、改めて大型水上輸送機が求められる事態となったことを考えると、まさに「歴史は繰り返す」を象徴しているように筆者(白石 光:戦史研究家)には思えてなりません。

【了】

【空中給油や軍用車輸送も】アメリカ製のレア飛行艇「トレードウインド」の様々なシーン

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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コメント

2件のコメント

  1. 仮にC-130の飛行艇モデルが実用化されたら、コスパ面ではトップクラスになることが予想される。そうなるとUS-2の海外輸出なんて(※すでにそうだが)夢のまた夢になりそう。

    最悪、財務省や政治家あたりから「C-130飛行艇のほうが予算がかからないから、国産飛行艇は止めよう」とか防衛基盤を揺るがしかねない発言が出るかも。

    関係者には意外と見逃せない話題かも。

    • そもそも論でいえばまたアメリカや西欧とまた戦争をしたいのならまだしも、そうでなければ1から10まで自前で作る必要はない訳で、他が作ってないものを中心に作ればいいだけの話。

      実際問題、US-2は国産機ではあるがエンジンを輸入しないとできないわけで、それが止まれば輸出どころかエンジン無しの機体が量産するだけ。

      ライセンス生産と言っても全部国産で済ますのは不可能で一定部分のパーツを輸入しないと完成しない。

      防衛基盤と言っても日本の能力ではその程度のモノしかない。

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