なぜ消えゆく「鉄道系コンビニ」阪急阪神アズナスもローソンに オリジナリティは残るか

大手チェーンのスピードには勝てなかった?

 いま日本で多く見られる郊外型コンビニの源流となった店舗は、昭和40年代後半に次々と登場しましたが、この頃に、鉄道弘済会が運営していた駅売店にも「Kiosk(キヨスク・キオスク)の愛称が付けられています。

 鉄道駅構内の売店は、ホームや階段横の狭小なスペースを活用し、人員ひとりで十分に切り盛りできる店舗が数多く出店されていった一方で、昭和30年代以降、コンコースなどの広い場所では郊外型コンビニに近い形態も登場。この2つの流れで展開されてきました。

 その後はコンビニそのものが増加したことで、駅ナカで物品を買う機会が少なくなり、駅構内の店舗は徐々に利用客が減少するようになります。また近年、大手コンビニ各社は限られたスペースで営業する「マイクロコンビニ」と呼ばれる形態を病院・オフィスなどで展開し、そのノウハウをもとに駅構内の狭小スペースにあった売店を徐々にリニューアルしていました。業界自体の再編の流れもあり、それぞれの鉄道系コンビニは争奪戦の様相を見せながら、急速に大手各社の店舗へ置き換わっていったのです。

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JR西日本管内の「セブンイレブン ハートイン」。かつてのハートインの文字がわずかに残る(宮武和多哉撮影)。

「鉄道系コンビニ」は立地で有利な店舗も多く擁していたものの、デイリー商品(弁当・おにぎり・パンなど)や日配商品(牛乳・チルド飲料など)の供給を大手取引先に支えられる全国チェーンに比べると、独立系列であるが故に利益を上げにくい環境だったともいえます。また「アズナス」が関西私鉄を中心に展開されていたPiTaPa以外の電子マネー対応で大幅に遅れをとったように、コンビニ業界全体の潮流にも取り残されがちです。今後の競争や、業界自体の変化を考えると、よほどの独自性を打ち出さない限り、独立性を保つことは難しかったのかもしれません。

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コメント

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4件のコメント

  1. ありがとうございます。やっぱり本業は本業任せ(鉄道会社は鉄道業に専念、コンビニ業はコンビニ専業会社に専念)という構図になりますね。

    • 本業を「鉄道事業会社」に分割し、不動産やホテル業を本業にした会社があります。東急株式会社と言うんですがね。阪急阪神ホールディングスや近鉄グループホールディングス、京阪ホールディングス、西武ホールディングスより酷い扱いです(ホールディングスは持株会社なので鉄道事業を切り離した訳ではないです)。

  2. アズナスはペットボトルは他のコンビニよりも高かった。だから駅前のコンビニに寄って買い物をするケースが増えており、駅ナカのアズナスの客足が遠のいたと思う。
    ローソンだったら周辺のコンビニと同じだから、客足が伸びるであろう。

  3. そして「乗りものニュース」では完全に無視されるおけいはんの話。京阪・南海の「アンスリー」はまだまだ健在です。

    アズナスのローソン転換で阪急がやってるコラボグッズ(今だとコウペンちゃん)とかHankyu Denshaグッズ、京都市内の取り扱い店舗が阪急駅では無くなるんだよなぁ……。前は京都河原町駅でふらっと立ち寄って買えてたのにローソン転換したらもう売ってないし。桂駅に残ってたアズナスExp.も11/11で終了だし。