現存唯一「三式中戦車」の激レア余生 赤羽で発見され映画出演が舞い込む その後は?

近年、技術遺産として維持・保管の機運が高まりつつある旧日本軍戦車。国内にわずかに残る旧日本軍車両のなかにあって、レア度などから存在感が際立つ「三式中戦車」がたどった戦後の運命を振り返ります。

映画出演のオファーが!

 しかし、三式中戦車は復活に向けて新たな縁を呼び込みます。なんと、のちに国民的映画シリーズ『男はつらいよ』で広く知られるようになる山田洋次監督の新作映画に、動く戦車を出したいという相談が竹内氏の元に舞い込んだのです。

 山田監督で戦車といえば、昭和の日本映画ファンならわかる人もいるかもしれません。ハナ肇主演の『馬鹿が戦車(タンク)でやってくる』(1964年、松竹)、この作品に出すためでした。

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『馬鹿が戦車(タンク)でやってくる』で用いられた「愛國87号」。撮影後、長らく劇用車リース会社が所有していたが、現在では御殿場市某所で保管されている(吉祥寺怪人撮影)。

 竹内氏は、映画のあらすじからすると八九式中戦車のほうが似合うと思いつつも、あと少しで復活する三式中戦車を推薦。山田組スタッフはさっそく陸上自衛隊武器学校に打診しますが、なんと稼働状態にあった統制型エンジンはすでに廃棄されたあとで、三式中戦車の復活&映画デビューは夢と消えてしまったといいます。

 余談ですが、『馬鹿が戦車(タンク)でやってくる』でスクリーンに登場した「愛國87号」は大原鉄工所の雪上車「吹雪号」を改造したものでした。幅広の履帯はそのままに、鉄板でできた車体の存在感はたっぷり。完成した映画を観ると、やはり内容的に巨大な三式中戦車では違和感があったかもしれません。

 さて話を三式中戦車に戻しましょう。

 太平洋戦争を生き残り、戦後も前述したような紆余曲折を経て陸上自衛隊の土浦駐屯地・武器学校に残る三式中戦車は、経年変化により装甲板のあちこちにヒビが入るなど痛々しい姿でいまに至ります。しかし操向変速機やエンジンは残っていますので、再生の可能性はゼロではありません。

 その作業には億単位の費用がかかることでしょう。ただ、冒頭に記したように不動状態にあった九五式軽戦車がレストアによって可動できるまでに復活した例はあります。三式中戦車も、これまで何度かあったスクラップになりそうな時期を、幸運を呼び乗り越えてきたわけですから、いつか最後の力で蘇る日が来るかもしれません。

【了】

【写真】国内に現存するそのほかの旧日本陸軍戦車

Writer:

1962年、静岡市生まれ。模型やミリタリー、漫画やアニメが好き。二人の猫様に仕える使用人として、住み込みで働いている野良猫怪人。

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コメント

1件のコメント

  1. 約9割まで進んだレストアを中止させる新校長って、歴史と人気があったブランドロゴやキャラクターを一新させるタイプの人だろうなと思う。

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