「旅客機も空中給油できれば航続距離爆伸びじゃん」実際できる? 実現に必要な要素とは

ジェット旅客機の航続距離は、長距離タイプでも1万kmから1万5000kmくらいという状態が長年続いています。軍用機には「空中給油」という手法がありますが、民間機では実現できるのでしょうか。

「ハード」の面から見る旅客機の空中給油の可能性

 また、空中給油は、設備の面でもハードルがあります。空中給油を実施するためには、給油する側にも、される側にも特殊な装備が必要であり、通常は民間機には装備されていません。

Large 20211105 01
給油ポッドのドローグでF/A-18Eに給油するKC-46A(画像:ボーイング)

 給油の方法は主にふたつあります。たとえばアメリカ海軍の場合、プローブ・アンド・ドローグという方式を採用しています。給油機側が先端に落下傘のような機構のついたパイプ(ドローグ)を出し、給油される側の機体は、それを空中で差し込みます。比較的運動性の高い機体で使用される方法です。

 一方、アメリカ空軍ではフライング・ブーム方式という方法が採用されています。ボーイング社が開発した、給油機の後部に装備された「ブーム」と呼ばれる太い管を用いて燃料を受け取る方法です。比較的大型機に対応できるというのが、この方式のメリットです。

 これらの実現にはいずれも、専用の機構が燃料供給を受ける側の機体にも必要です。旅客機の場合、燃料の給油口は主翼の下が一般的です。少なくとも、空中給油のための給油口の位置を機首上部に設け、そこから主翼の燃料タンクまでパイプを伸ばす機構を追加する必要があります。こうなると、結構抜本的な改造となり、費用も莫大ですし、重量もその分重くなり、その分搭載量が減ります。メンテナンスも大変なことになります。やっぱりコスパが悪い…となるわけです。

 となると、やっぱり今のまま「給油は地上でのみ行う」というのが一番安全で確実な方法です。航続距離は燃費の良いエンジンを積んだ新型機が開発されれば多少は伸びますので、そちらに期待した方が現実的なのかもしれません。

※ ※ ※

 なお、ジェット旅客機の長距離性能は、この数十年間、頭打ち状態であったように思います。これは、旅客機として要求される長距離性能が、需要から判断すれば、アジア~アメリカ線、アジア~ヨーロッパ線の直行便をカバーできれば十分であるためです。距離にすると長くとも1万kmから1万5000kmほどの性能といったところでしょう。

 ただ、冒頭のA321XLRは単通路旅客機では世界最長の航続距離をもつとうたわれているほか、エアバス社からは、航続距離1万8000kmをうたう超ロングフライト使用旅客機A350-900ULRなども出現しています。これらは現代では特殊なタイプですが、こういった旅客機の出現は、航空業界の変化につながるのかもしれません。

【了】

世界イチ派手!? & 空自新型の「空中給油機」など

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

最新記事

コメント

3件のコメント

  1. 例えば

    一番有名な

    アメリカ大統領専用機

    通称「エアフォースワン」

    これには空中給油装置が付いてるから

    空中給油を受けたら、飛行距離は延びるけど

    エンジンオイルは給油出来ないから

    その限界が約72時間

    大統領が乗ってるのに

    そんな危険な事は

    まず無い❗

    メインが故障やトラブルが起きたら

    直ぐに

    予備機に移る

    • え?え?70時間って何が根拠?

      仮にもエアフォースワンなので、

      秘密の隠し機能が有るかとは思いますけど、

      標準仕様で有れば20時間程度かと思われますが。

    • 何だ、WIKIのコピペか。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス