宇宙船は飛行機それとも船? 組織ごとに違う宇宙飛行士の訓練方式 野口宇宙飛行士に聞く

宇宙飛行士になるためには、高い倍率の選抜試験をくぐり抜けた上で長く厳しい訓練を受ける必要があります。加えて訓練内容は国ごと組織ごとに異なったものだといいます。ロシアとアメリカ両方を知る野口宇宙飛行士に聞きました。

米ロの違い、国と民間との違い

――他に差が出てくる部分はありますか?

野口:クルードラゴンは、民間企業であるスペースX社が打上げや運用、事前訓練も含めて提供しているので、独自の、いうならば「スペースX流」の考え方が出てきます。私は最初に乗ったのがアメリカのスペースシャトルで次がロシアのソユーズだったので、最初はアメリカ流とロシア流のやり方の違い、国ごとの違いに悩んだ経験もありますが、(今回、クルードラゴンに乗ったことで)国がやる宇宙計画と民間企業がやる計画のギャップも大きいなということがわかりました。いわゆるお役所仕事とIT企業の発想の違いですから、これはもうぜんぜん異なります。

――「国と民間の違い」ですか。どんなところがあるのでしょう?

野口:民間企業というのは、コストを下げてより多くのお客さんを集めるというのが、最終的な目標ですよね。ですから様々なものがその方向に動いていきます。一方、国策の場合には、決まった予算を使って成果を出せばそれでいい、ということになるでしょう(笑)。だいぶアプローチが違いますが、今後年月をかけてすりあわせて、良いものができればこのギャップも変わってくると思います。

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ロシアで実施した、落水に備えた訓練。(写真:JAXA/GCTC)。

――アメリカ流とロシア流の違いという話をされましたが、そこをもう少し伺います。アメリカだと宇宙飛行士はT-38などの練習機を使って訓練すると聞いていますが、ロシアにもそういったものはありますか?

野口:T-38(「てぃー・さんぱち」と発音)は、我々もいま、日々の訓練で使っています。アメリカは、ジェット機に乗って実際のスピードや加速度(G)を感じるのを大事だと考えています。一方、ロシアは飛行機乗りというよりは、宇宙船をフネと見て、船あるいは潜水艦に乗って長期間海に出て、そこでいかに過ごすのかという考えなのでしょう。今はなくなりましたが、ロシアは真空チャンバーの中で何時間も過ごすというようなことを訓練でやっていたりします。

――アメリカのように、飛行機を使って、というのは?

野口:それはないですね、はい。

――貴重なお話の数々、ありがとうございました。

【知られざる宇宙飛行士訓練の様子】

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