宇宙船は飛行機それとも船? 組織ごとに違う宇宙飛行士の訓練方式 野口宇宙飛行士に聞く
訓練の種類とインタビューで感じた宇宙飛行士の資質
インタビューで印象的だったのは、ひとくちに「宇宙飛行士訓練」とくくられる中にも大きな違いが存在していることでした。特にスペースX社のクルードラゴンに触れたときの野口宇宙飛行士は、それがいかに新しいものであるかを強調していました。それだけ革新的だと実感したのでしょう。
訓練も多種多様なものがあります。例を挙げれば宇宙船の操作に習熟するためのもの、緊急時に備えるもの、語学、チームワークやリーダーシップを鍛えるものなどです。これらは単に宇宙船を操作し、宇宙空間で必要な仕事をしてこられるように鍛えるだけでなく、コミュニケーションのための語学(英語とロシア語)、閉鎖空間で長期間過ごすという特性に合わせた人間性や人間関係の構築力を鍛えるように設定されています。これらを踏まえた上で自国文化を深く学び、他の文化を尊重する知識と態度も求められます。
筆者(金木利憲:東京とびもの学会)はこれまで野口宇宙飛行士、星出宇宙飛行士、若田宇宙飛行士の3名にインタビューや取材で接する機会がありましたが、みな物腰柔らかく、慎重に言葉を選んだうえで的確に答え、決して質問者を否定しないという点では共通していました。これはひとたび宇宙に出たら、何があってもそこにいるメンバーで協力して切り抜けていかなければならない宇宙飛行士という職業に求められる資質ですし、元から持っている素質に訓練を重ねてさらに磨きをかけていくものなのでしょう。
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