真珠湾攻撃 アメリカは「自衛権」をいつ発動できる? 歴史のIF 国会での議論の顛末

国家が自国を守るために他国へ武力を行使する権利、すなわち「自衛権」はどういうタイミングで発動できるのでしょうか。これについて、かつて日本の国会で真珠湾攻撃を例に議論されたことがありました。その顛末を解説します。

国際法上の自衛権の要件とは

 楢崎議員がなぜこのような質問をしたのかというと、それは真珠湾攻撃という例を使って、自衛権を行使する際の要件である「武力攻撃の発生」について、日本政府の考えを明らかにしようとしたためです。

 ここで、国際法上の自衛権に関する要件について、少々整理していきましょう。まず、現在の国際法上、国家が他国に対して武力を行使することは原則的に禁じられています。そして、その原則に対する例外として、他国に対する武力行使が認められるのが「自衛権の行使」です。しかし、その自衛権も自由に行使できるわけではなく、それには一定の要件が課されています。それが「武力攻撃の発生」です。

 武力攻撃とは、分かりやすくいえば「自国に対する他国からの違法かつ一定の規模をともなう軍事攻撃」のことで、つまり自衛権は他国からの攻撃に対応する時にのみその行使が認められる権利ということになります。そこで問題となるのが、武力攻撃が「発生」した時とは一体いつのことを指すのかという点です。

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1941年12月8日(日本時間)、真珠湾にて攻撃を受け炎上するたアメリカ海軍の戦艦「アリゾナ」(画像:アメリカ国立公文書記録管理局)。

 たとえば、他国からミサイル攻撃を受けた場合を考えてみると、弾道ミサイルが自国の領土内に着弾した時点では、間違いなく武力攻撃が発生したといえます。しかしこれでは、自衛権を行使するためには実害の発生を甘んじて受け入れる必要があるように思えてしまいます。本来、自衛権とは自国に存在するさまざまな権利や人命、財産などを守るために存在するもので、そこに実害の発生が必要となれば、これは自衛権の本質から考えて不合理です。

 したがって、「武力攻撃の発生」とは、必ずしも実害の発生を指すわけではなく、時として実害が発生する前であっても、相手国からの攻撃を受けることが確実となった時点でその存在が認められるもの、という考えが国際法学者などを中心に広く主張されています。これが、いわゆる「先制自衛」です。

【写真】真珠湾に入港する「はくりゅう」

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