真珠湾攻撃 アメリカは「自衛権」をいつ発動できる? 歴史のIF 国会での議論の顛末

国家が自国を守るために他国へ武力を行使する権利、すなわち「自衛権」はどういうタイミングで発動できるのでしょうか。これについて、かつて日本の国会で真珠湾攻撃を例に議論されたことがありました。その顛末を解説します。

真珠湾攻撃の「着手」は…?

 この考え方に従えば、楢崎議員が示した3つの時点の内、(1)の「機動部隊に対して『ニイタカヤマノボレ』という暗号電文が発せられた時」であれば、それ以降の機動部隊は真珠湾攻撃を目的として行動しているため、この時点で武力攻撃が発生したといえるのではないかと考えられます。実際に、アメリカをはじめとする各国の国際法解釈に大きな影響を及ぼしているテルアビブ大学のヨーラム・ディンシュタイン教授も、著書の中で同様の考えを示しています。

 ただし、それでもなお日本政府は「仮設例を用いて武力攻撃の発生を示すことはできない」という姿勢を崩していないため、これに関する日本政府の考えは必ずしも明らかでありません。

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1941年12月10日(現地時間)に撮影された、真珠湾攻撃から3日後の現地の様子(画像:アメリカ国立公文書記録管理局)。

 上記の日本政府の考えが示されたのは、いま(2021年)から約50年以上も前のことになりますが、それでもこれは、北朝鮮による弾道ミサイル攻撃や中国による島しょ部への侵攻、さらにはサイバー攻撃への対応など、現在、日本が直面している事態において、日本政府が武力攻撃の発生を認定する際の基本的な考えとなっています。つまり、この議論は現在においても極めて重要な意味を持っているのです。

【了】

【写真】真珠湾に入港する「はくりゅう」

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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